さとうひろし 一有権者のブログ 

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zoom RSS ディズニーランドの音響技術

<<   作成日時 : 2009/06/22 00:37   >>

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先週の話になりますが、今、写真を出品しているギャラリー
http://factory-core.com/index/main.html
の主宰にしつこく、一度は見るように勧められていた東京ディズニーランドへ、生まれて初めて行ってきました。

何が悲しくて、子供も居ないいい歳をした男が時間を作ってわざわざ人ゴミの中へ行かなきゃいけないんだ?
と、ゲートを入るまでは内心思っていたんですが、行ってみれば百聞は一見にしかず。老若男女を問わずたくさんの人がリピータになる理由が良く分かりました。

アトラクションの設計・施工、施設のデザインから造形、従業員(キャストだとか横文字で呼ばれているらしいですが)の接客、パレードに出演するダンサーの動き・・
どれを取っても徹頭徹尾寸分のブレもないポリシーに従って徹底的に作り込まれている。
幽霊が出て来ても、怖いどころか幽霊(実際には映像なのですが)を投影する技術に惚れ惚れしてしまって全然怖くない(中に一人か二人、プログラムされていない幽霊た混ざっていたかも知れませんが・・)。

私の専門分野の音響に関して言えば、一般の商業施設と比較して、音質の良さもさることながら、サービスエリアを厳密にコントロールする徹底ぶりに驚かされました。

ディズニーランドは、エリア毎に、施設毎に、更に同じ施設の中でも場所毎に違うテーマミュージックや効果音が設定されているのですが、まず基本的に、巷の商業施設とは比較にならないほど(というより桁違いに)多数のスピーカを配置して、場所毎の音圧分布をきめ細かに設定していました。

例えば、「イッツ・ア・スモールワールド」は、屋内プールのような大空間で音楽を流しているにもかかわらず、エコーはほとんど聞こえず、内部をライド(船)に乗って移動する間、音楽が全く途切れないし、音量も(聴感上)ほとんど変わらない。壁面や天井からの反射音が遠くまで届かないよう、一つ一つのスピーカから出る音の音量を抑制する一方で、音源の数を増やし、隣接するスピーカから流れる音楽の時間軸を精密に同期させているようです。そうでなければ、各々のスピーカから出る音が耳に届くまでの時間差によって、音楽が輪唱状態になってしまうはずです。

更にイッツ・ア・スモールワールドでは、幾つかに仕切られたエリア毎に、流れる曲は同じでも、歌詞が異なっています(いろんな国の言葉で同じ内容の歌詞を歌っている)。エリア間を移動すると、メロディーはそのまま切れ目なく
続いているのに歌詞だけが入れ替わるように聞こえる。小さな子供向けのアトラクションなので、ぼんやり乗っていると、何も印象に残らず終わってしまいますが、子供達の脳裏にあの歌を徹底的に焼き付けるために、「そこまでやるか」というほどきめ細かな音場制御が行われているようです。
トップダウンの設計というより、施工中・施工後の徹底したチューニングの賜物だと思いますが、演出をここまで徹底させると、もう立派な「洗脳」ですね。

一方、最近出来たアトラクションの一つである「カリブの海賊」では、場所によって、置いてある人形(ロボット)や仕掛け一つ一つにスピーカが組み込まれていて、見た目の人形の配置と耳で聞く音像配置とが完全に一致していま
した(ということは、1アトラクション当たり数百以上の音源を、個別に制御していることになる)。

その上、一つ一つのスピーカの指向性が、単なる箱型スピーカシステムより明らかに狭い場所が多々ある。音が聞こえるべき所だけで聞こえ、ロボットからの距離が離れると効果音の音量が急激に下がる。次から次へと数珠繋ぎに観客を載せた船がロボットの脇を通過するので、人の移動に同期して音量をアップダウンさせる手は使えず、音源毎に適した指向性になるよう、一つ一つのスピーカシステムを設計しているようです。カリブの海賊ほどではないですが、昔からあるスプラッシュマウンテンも、一つ一つの効果音が聞こえる範囲が、きめ細かに調整されているように聞こえました。

BGMを流す戸外のスピーカは、容易に音源位置が察知されないように(来場者の耳に届く音が、反射音や拡散音主体になるよう)巧みに隠されていました。(スピーカの場所を探して歩くのがけっこう楽しい)。一目で分かる所に堂々と設置されているスピーカはパレード専用のスピーカだけで、普段は音が出ていませんでした。

ちなみに後日、(ディズニーランドの隣の)ディズニーシーのアトラクションを幾つか担当した音響エンジニアとメールをやりとりする機会があったのですが、彼女の話では、ライド(船)を流すための水流を作るポンプの音が、観客の
耳に聞こえてはいけないなど、他の施設では考えられないような、厳しい騒音対策を、運営会社であるオリエンタルランドから要求されたそうです。
言われてみればディズニーランドの乗り物は、どれも極めて静か(振動の小ささも含めて)、乗り物が動く音は、(実際にエンジンで動く一部の船を除けば)人工的に付加された音でした。、例えばディズニーランド内を回る列車(ウエスタンリバー鉄道)の走行音は、走行音を出すためだけに取り付けられた、スチーム装置からの音。

いやはや、恐れ入りました。

(続く)

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
初めまして
とぉもきと言います

PAエンジニアをしています
将来は東京ディズニーランドで音響さんとして働きたいと思っています

できればもっと個人的にお話を聞きたいです

できたらコメントに返信をください

本当によろしくお願いします
とぉもき
2012/01/07 23:22
とぉもきさまようこそ。
私のブログのトップページに、私のFacebookアカウントへのリンクが張ってありますので、よろしければFacebookへお越しください。
さとうひろし
2012/01/07 23:48
フェイスブックにリクエスト送りました

お話ししたいです

お願いします
とぉもき
2012/05/21 10:57
ディズニーの音響について気になって
貴方のブログにたどり着きました。
少しだけ訂正させてください。鉄道も好きな私にとってウエスタンリバー鉄道はパークの中でも一番好きなアトラクションなんですが、
あの列車の音は走行音を出すための音ではなく
ブレーキに使う圧縮空気を作るコンプレッサーの音です。
他の列車と違い裸になっていて大きなバスバスといった音や、ぶぶぶぶと言った音(恐らく油が足りていないのが原因)がかなり大きく聞こえます。
本物の蒸気機関車(火力は石炭ではなく灯油)なので、運転するにも資格が必要ですし、部品に関してもカウキャッチャーなどを除けば基本的に必要なものなのです。
意図して走行音を出すためのスチーム装置などは取り付けられていません。
パークのスピーカーについて色々調べていたのですが、
私の好きな汽車のスチームを吐き出す音や、汽笛の音はあなた様が仰るこだわりが強い故、本物の蒸気機関車を走らせているからこその音なのです。
細かいことを言って申し訳ありませんが、ご指摘させて頂きますm(__)m
ご不快な想いをさせてしまい、申し訳ありません。
通りすがり
2015/09/12 00:36

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