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zoom RSS 現代デザインの原点(ロシア構成主義のまなざし)

<<   作成日時 : 2010/06/04 17:20   >>

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先月のことになりますが、東京都庭園美術館で開催中の、「ロトチェンコ+ステパーノワ ロシア構成主義のまなざし」を見てきました(6/20 まで開催中)。
http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/rodchenko/index.html
アーティストやデザインやってる人は必見だと思います。現代音楽や、エレクトリックやってる人も。彼らが無意識に、普通にやっていることに、世界で初めて市民権を与えたのは、恐らくこの人達でしょう。

彼らの仕事は正に、現在「デザイン」と呼ばれている仕事全ての原型で、芸術における(視覚表現、聴覚表現共に)抽象表現(実在する物事の表現ではない、表現のための表現) の原型ではないかと思いました。

もちろん当時の世界には、似たような発想で活躍していた人が大勢居たし、彼らの仕事は前例の存在しない、完璧なオリジナルだったわけじゃありません。展覧会場の解説にも、彼らが当初、20世紀初頭の「未来派」と呼ばれる運動から大きな影響を受けていたことが明記されています。

けれど彼らの仕事は、既に存在して用途も決まっているモノの形や装飾を決めるという意味でのデザインから大きく踏み出し、与えられた目的に沿ってどんなモノを作るか、どんな表現手段を取るか、の段階から考える現代的な意味でのデザインというプロセスを確立させた。「構成主義」と呼ばれた彼らの仕事の革新性は、そこにあるのだなと思いました。

そして、現代的意味でのデザインを実行可能にしたのが、彼らの芸術作品造り。

ロトチェンコは、現実的テーマのある絵画から出発し、やがて線や面や色彩に、何かを描く道具ではなく、それ自体の価値、それ自体の生命を見出し、後年「無対象」と呼ばれる表現(後に抽象画と呼ばれる)を相次ぎ発表し、やがて画面全体を同じ色で塗りつぶした作品(20世紀後半のマーク・ロスコのような!)に至って絵画制作からは手を引いた(その後はポスター、舞台装置、衣装、建築、家具のデザインに没頭)

色や線が、何かを描く手段ではなく、それ自体の意味を見出したロトチェンコの発見がなければ、後の抽象画の開花やバウハウスでの多彩なデザインも生まれなかったろうし、現代音楽の発想も、(自然音とは似ても似つかない)電子音による演奏なんて発想も、今みたいに広まることは無かったのではないでしょうか?

一方、ステパーノワは、「何かを表現する手段としての絵画というスタンス」は守りつつ、現実世界には実在しない抽象的な形で人間を表現する作品を次々と発表したり、「色彩による詩(色彩や形によるリズムの表現に発展する)」を試みたり、今の視覚デザインやアニメの原点になる表現を次々発明して行きます。

二人の成果はやがて「構成主義」と呼ばれるデザイン思想に集約され、現在の広告、ファッション、工業・・およそ全てのデザインの元になり、その思想は、スターリン独裁を嫌って欧州へ流れた人々によって欧州(ドイツのバウハウスなど)の様々な運動と合流し、飛躍し、第2次大戦を通じて(ナチスを嫌ってアメリカへ亡命した欧州人らによって)アメリカ経由で世界へ広がって行くわけですが、

どんなことでも、事の始まりは、個人の自由な発想と努力から始まるんですね。

ロシア構成主義というのは、大勢の作家達が関わりながら発展して行った運動だと私は理解していたのですが、その中からなぜ、ロトチェンコとステパーノワに的を絞ったのか?展示を見て理解できました。

それから、展覧会の解説には明記されていませんでしたが、ロトチェンコが線や色といった抽象表現に価値を見出した背景には、機械という、自然界には存在しない形、設計図に定規やコンパスで描かれら直線。曲線といった、正に抽象的な要素から構成された形態を持つ道具が、人々の生活を見る見る変えていったという時代背景が、大きく影響していたのではないかと思います。

機械が人間の生活を、より幸せにすると信じられた時代だからこそ、ロトチェンコら芸術家達達がこぞって、抽象表現に未来を見出そうとしたのではないかと思います。
(実際、急激な工業化の弊害が目立った19世紀の英国では、ウイリアムモリスが自然をモチーフにした製品を積極的に開発したりしています)


さて、
人間による環境破壊で人類自体の滅亡が危ぶまれている今、抽象表現に未来はあるでしょうか?

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