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zoom RSS 10/30加筆修正:抑止力の要は日米安保ではなく国際社会への説得力

<<   作成日時 : 2010/09/14 02:17   >>

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中国漁船が尖閣諸島に不法侵入した挙句、船長が公務執行妨害で逮捕された件で、中国政府が日本大使を深夜呼びつけるなど、容易にマスメディアに知られる方法で、日本を見下す姿勢を採る(対等な外交相手とみなさない)のは、中国政府が、将来尖閣諸島を領有する方針であることを、世界にアピールするためと考えられます。

アメリカ政府は表向き、尖閣諸島が日米安全保障条約の対象であると、述べていますが、日米の共同防衛を規定している安保条約第五条の条文には、日本が武力攻撃を受けた場合の対応として、
>自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
としか書かれておらず、アメリカ軍が出動するかどうかについての規定は全くありません。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/teikoku-denmo/no_frame/history/kaisetsu/other/nichibei_anpo1960.html

つまり日本への攻撃に対してアメリカ軍が行動を起こすかどうかは、アメリカ政府が決めることで、アメリカ政府は現在、尖閣諸島の領有権に関しては中立を保っています。領有権問題で中立を保つアメリカ政府が、尖閣諸島のために軍を動かすと考えるのは非現実的でしょう。仮に尖閣諸島周辺への攻撃に対してアメリカ軍が出動するにしても、そのためには、第5条に明記された通り、米国憲法の規定及び手続きに従わねばならず、手続きを進める間に日本への攻撃が終了、つまり尖閣諸島が、領有権を主張する他国に実効支配されてしまい、領有権に中立の立場を採る米国が、軍を出撃させる根拠を失う可能性も、充分に考えられます。

日本が武力攻撃を受けたとき、日米安保条約によって、米軍が必ず日本を守るというのは、冷戦時代の、日本政府側の解釈に過ぎません。当時、日本を攻撃する可能性があったのは、全て、米国とも敵対している国家(ソ連、中国)でした。しかし現在、米国はこれらの国家と敵対関係に無く、日米安保条約は条文通りに運用されるでしょう。
http://club.pep.ne.jp/~nonoyama/Anpo.htm

更に、2005年に締結された「日米同盟:未来のための変革と再編」では、U−2項で、日本(だけ)が標的となった攻撃には日本が「自らを防衛し、周辺事態に対応する」と明記されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/henkaku_saihen.html


では、海上自衛隊や航空自衛隊の能力を強化すれば、尖閣諸島のような離島の権益を守る抑止力になるかと言えば、それはむしろ逆効果になる危険があります。中国政府は尖閣諸島を自国領だと主張していますから、日本人が武力攻撃を受けるような差し迫った危険も無いのに尖閣諸島周辺に自衛艦を派遣すれば、中国政府に、「自国領が武力で侵略された」と言わせる口実、つまり中国防衛のために人民解放軍を出動させる口実を与えかねません。それに、少なくとも現状で尖閣諸島に侵入しているのは、外国の漁船や調査船、外国政府とは直接関係の無い民間団体であり、これは司法で、つまり海上保安庁が取り締まるべき相手です。


要するに平時の抑止力としては、自衛隊よりも海上保安庁の能力強化がはるかに重要で、それは尖閣諸島周辺に限らず、日本の領海と経済専管水域全てに当てはまると思います。
制空権制海権を確保した後でなければ動けない(平時の抑止力にはならない)海兵隊や、「ミサイル防衛」等と称する、有効性を欠く実験(米軍需産業の一部を潤すだけ)に使う予算があるなら、海上保安庁の機能を強化する方が、日本の安全保障上、はるかに緊急性が高いのではないかと思います。

つまり、中国政府が尖閣諸島を力で奪還しようとすれば、中国政府の国際的信用が大きく失墜するような政治環境作りが要でしょう。日本が常に、中国以上に、国際的に信用される国であること。特に、アジア諸国にとって、日本が中国以上に信頼できるパートナーになること。それが最も基本的かつ強力な抑止力でしょう。外交はどう美化しようと、現実は損得勘定。日本という国家が、他の国から見て得になる存在かどうかで日本の安全は決まります。

そのために日本政府が当面すべきことは、冷静な対応を取りつつ、中国政府の、領有権主張自体が無法であるように、国際社会にアピールすることでしょう。アメリカという大国が、領有権で中立を保っている以上、日中どちらの主張が容認されるかは、両国政府の宣伝の巧みさと国際貢献の勝負になるでしょう。

しかし現在のように、日本政府が対米隷属の安全保障政策を採っていたのでは、日本は(米国と利害を共にしない国家も含めた)世界から見れば、米国の都合でどうにでもなる国家、原理原則の無い国家でしかなく、現在の外交政策の延長では、日本が、独立国として、中国以上の信頼を勝ち取るのは難しいと思います。

米国以外からの国際的信用(とりわけ中国以外の東アジア諸国からの信用)という観点からも、自衛隊の増強には慎重であるべきです。同じ武装でも、自衛隊が所持するのと海上保安庁が所持するのでは、政治的意味合いが異なります。

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