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zoom RSS 山下達郎さん(誠意・節度のある大人とは)

<<   作成日時 : 2011/08/11 02:39   >>

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今日(正確には昨日ですが)、山下達郎さんが、朝からTOKYO FMの殆どの番組にゲスト出演していました。

6年ぶりのニューアルバムのプロモーション企画だそうで、私は午後2時過ぎから番組を聴き始めたのですが、山下さん自身のトークの内容は、ほとんどアルバム以外の話題、それも番組毎に違う切り口、山下達郎ファンに限らず、幅広いリスナーにとっても非常に面白い内容だったと思います。

午後の番組「シナプス」では、洋楽作曲家オタクを自認する山下さんの面目躍如な話題の数々。手持ちの音源をデータベース化するため、定期的に人を雇って入力作業をしなければ間に合わないほど、今もひんぱんに音源収集を続けている話や、(音質にうるさいので)他社スタジオへの出入りが禁止になっている話、過去2回ほど、音質の不満で工場を止めた(レコード盤の工場?)武勇伝などなど。

「シナプス」では時には笑いも取ってリスナーを楽しませてくれた山下さんですが、夕方の報道番組「Time Line」では一転して(と言う書き方は大変失礼ですが)、社会人としての理性的なコメントに徹していたのが印象的でした。

いわゆる”識者”や評論家、マスメディアの論説委員等にありがちな、批判だけ好き放題した挙句、「ではどうすべきか」には言葉を濁す無責任な言動とは対照的に、具体的な事件・事故への言及は避けながらも、
「大きな災害や事件に巻き込まれなくても、人生には様々な悲しみや苦しみがあるし、それは他者の苦しみと比較できるものではない。」と、世の中の出来事をどう受け止めるべきかを、上から目線ではなく、自分を例に語る姿が印象的でした。

「社会は変わり続けるもの。それをどう受け入れるか。」、「(暴動や震災のような)大きな変化があれば音楽も必ず変わる。自分達の音楽も、やがてはビートルズ以前の昭和歌謡のように見られる。そうなったとき、如何に自分達の音楽とリスナーをつなげて行くか?」「音楽の楽しみ方が今のように(LPやCDから、YouTubeやiPhoneなどの、無料も含むネット配信中心へと)変わることは分かっていたので、数年前から対応できるように準備していた。」

など、社会の変化を、避けられないものとして受け入れざるを得ないとの発言が多かった一方、

「自分にとって興味があるのは、今でも生身の人間だけ。それに一番近いものとして、今でもラジオ(放送への出演を)大切にしている。ツイッター(等のネットメディア)はヴァーチャルな感じがする。」
と、(自分の仕事を社会の変化に適応させつつ)自身のブレない立ち位置をきっぱり語っていました(Web2.0だのFacebookで世界が変わるだの浮かれている”識者”達とは対照的に)。また音楽と社会との関わりについては、
「音楽で世の中が変わると思われていた時代もあったけれど(特にロックでは)、音楽にそんな力は無い。これからは、音楽本来の役割(一人ひとりの心に語りかける)が期待されるようになる。音楽にとっては良いこと。」
と、やはり、ブレない立ち位置を大切にする姿勢を語っていました。

午後10時から放送された「SCHOOL of LOCK」でも、大人としの見識ある、なおかつ決して上から目線にならないコメントが続きました(この番組は中学・高校生向け)。

この番組で山下さんは、自分が所属するレコード会社の若手の曲を紹介しながら、「自分の世代は、音楽自体に影響力があったせいもあり、音楽で何をやりたいかがあいまいなまま、ミュージシャンになったが(自分自身も含めて)、最近の若手は、音楽で何を伝えたいかがはじめからはっきりしている」と、若手の音楽に対する姿勢について肯定的にコメントし、自身が好んで聴く邦楽は、ロック(それもかなりハードな)が多いという、山下さん自身のアルバムの内容からは想像しにくい一面も披露してくれました。

更に山下さんは番組の中で、現在社会の親子関係について、「自分が若者だった時代と比べて、親子(の世代)が語り合うのが容易で、良い時代になった。音楽も、広い世代に共有されるようになった。自分が若かった時代は、親世代からは決して理解されなかったし、自分達も、大人を信用できないと思っていた。」と、肯定的に評価していました。この見解には、おそらく批判もあるでしょうが、こうした発言は、山下さん自身が、彼らの親世代とは一線を画した価値観で、仕事だけでなく子育てもこなしてきた自負の表れという面も、あるのではないかと思います。

番組の終盤近く、山下さんは、「青春とは、無限の可能性」と語る一方、視聴者(10代)からの、「幸せとは、具体的に何で​すか?」という質問には、「自分って、この位。 と許せること」と答えていました。「夢は必ず実現すると言う人も多いけれど、世の中そんなに甘くない。自分に言わせれば夢はほとんど​が実現しない。夢が実現しなかったとき、どうするか?」だとも。

許すということは、「許さない」「責める」という選択肢もあ​ったということ。換言すれば「この位」ではない自分になれた可能性を認めた上での「許す」であって、努力もしないで現状を容認するのとは大違い。

山下さんは、40年近い音楽家活動の中で、ビジネスとしてのえげつない部分に向き合わなければならない場面が、少なからずあったことを、はっきり認めた上で、(それでも)音楽を嫌いになった事が一度も無い自分は幸せだと語っていました。

夢(と言うより憧れ)を決して捨てず、なおかつ結果や過去には固執しないことで、前向きな精神を保つ。山下さんのこの日のコメントからは、そんな生き様が見えてきます。

世間では、「夢=ビジネスでの​成功」を暗黙の前提に、若者に経済競争をけしかける無責任な大人が珍しくありませんが、山下達郎さんは、ビジネスの世界では間違えなく成功者の一人である一方、大方の大人とは一線​を画した、節度と誠意のある人ではないかと思います。

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山下達郎「ターナーの汽罐車」の世界観を小説にしました。山下さんに読んでもらいたいと思っています。そこでどうか「山下さんを知ってそうな人を知ってそうな人」にチェーンメールを送ってくださいませんでしょうか。http://kikansya.exblog.jp/ 著者・鏡筆
鏡筆
2014/01/22 15:30

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