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zoom RSS 1/12追記:置き去りにされてきた問い(最近見た展示から) その2

<<   作成日時 : 2012/01/12 00:53   >>

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ところで、今月初めに開催された東京モーターショーですが、会場が千葉県幕張から臨海副都心の東京ビックサイトに変更されたせいか、前回を上回る入場者数だったそうです。しかし、子供の頃から東京モーターショーに通い続けている私にとっては、残念ながら既視感あふれる内容でした。

展示されている技術は確かに、毎回進歩はしているものの、取って付けたようなイメージばかりで、技術的な具体性や実体のある生活提案に欠けるステージデモの数々。大手メーカーほど見栄えと中身のギャップが大きい。未来のライフスタイル等と言いながら実は10年前に既に見えてた未来を繰り返しプレゼンしているだけ。ここ10年の進歩と言えば、車(載コンピュータ)とのコミュニケーションに使う端末に、スマートフォンという具体的な製品名が付いた事位。あとは、昔ながらの”走る喜び”を追求したモデル(試作車も含む)の展示や、普通の新車発表と同様、実生活での実用性をアピールしたデモ。

実用性重視の展示はいいことですし、”走る喜び”も、悪いことではありませんが、今回に限らず、近年の東京モーターショーを通じで徐々にはっきりしてきたのは、要するに自動車というのが既に、(新しい)夢を実現する手段ではなくなりつつある、ということではないかと思います。メーカー自身が夢を提示できなくなっている。ダイヤモンドオンラインにも、今回のモーターショーを取材した記事が掲載されているようですが、この記事でも、(入場者数が)盛況だった理由は、将来の車への夢や、購買目的の下見、以外の部分だったという見方が紹介されています。
http://diamond.jp/articles/-/15311

もちろん、話をモビリティ(機械による移動手段)全体に広げて考えれば、人々のライフスタイルを一変させるような(かつ技術的にも経済的にも実現可能な)夢は、幾つも提示できるでしょうし、これまで培われてきた自動車技術の応用先も数多くあるとは思いま。ただ、人々の夢(社会的ニーズ)が、作り手側も含めて自動車とは別の世界にシフトしつつあることが、年を追ってはっきりしてきた昨今、いい加減、日本の経済は自動車メーカーが牽引するなどというシナリオは、見直すべきではないでしょうか?少なくとも、今のように沢山の自動車メーカーが日本に存在する必然性は無いし生き残れる経済環境が訪れるとも思えない。むしろ多くの自動車メーカー同士が過当競争を繰り広げる現状を維持させてしまうと、(従来のエンジン車とは全く構造も設計思想も異なる)電気自動車時代に向けての、新しい産業育成に対する障害になるかも知れません。

日本の産業界はいつまで、過去の栄光にすがり続けるのでしょうか?

自動車そのものの話ではありませんが、日本の電機メーカーは、1990年代の後半以降、次々とディジタルオーディオプレーヤを発売しました。しかし、アメリカのパソコン専業メーカーだったアップル社がiPodを発売するとほどなく、日本企業は次々とシェアを奪われ、iPod がディジタル・オーディオプレーヤの代名詞になってしまったのは周知の通りです。過当競争という業界の体質が、創造的な商品の開発や市場開拓を阻んでいることの表れでしょう。それは、先のブログで書いた通り、40年前から日本国内で指摘されていた病理です。日本の産業界は、技術開発力は何とか維持しているものの、商品を創造する力を、これからの社会的なニーズに合った生活を提示する力を、失いつつあるのではないでしょうか?

アップル。コンピュータの創業者の一人であり、死の直前までCEOでもあったスティーブ・ジョブスが生前、新しいアイデアを数多く生み出すことよりも、(優先順位の低い)アイデアを切り捨てる努力の方が、(企業経営にとって)遥かに難しいし重要だと語っていた事は良く知られています。また今月発売された、クーリエジャポン2012年一月号には、MITメディアラボに長年在籍し、現在は副所長でもある石井裕氏へのインタビューが掲載されていますが、彼もまたインタビューの中で、(創造的な成果を出す上で)一番大事なもの以外を捨てる重要性を語っています。更に、何を選ぶべきかを突き詰める上で「なぜ」を繰り返す重要性、「自分が死んだはるか後の人間に何を残せるか?」という視点の重要性を語っています。

日本でも最近、とりわけビジネスの世界では、何かにつけて”イノヴェーション”の必要性が叫ばれますが、ではなにが”イノヴェーション”なのか?どんな方向の変化が”イノヴェーティブ”なのかはほとんど語られず、イノベーションと言いながら実際には弊害の目立つしくみの温存が図られる事も珍しくはなく、言葉だけが一人歩きしている状況ではないかと思います。それは、問題を直視し、遠い子孫の事まで考えて、大事なものを選び取る(大事でないものを捨てる)事を躊躇する人間が、大勢居るからではないかと思います。

前例を探そうと思えば、問題を直視して物事を語ってきた先人達はいくらでも居ます。要は私達が、彼らの歩んだ道へ踏み出すかどうかだと思います。



1/12 追記分:
若者の「車離れ」について、下記のような解説が出ていました。要するに、若者は車に興味が無いのではなく、購入費も維持費も高すぎるので買わないということです。自動車業界や立法府がやっている事が、新たな生活ニーズとかけ離れているのがその原因です。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1201/11/news055.html

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