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zoom RSS 6/27追記: 科学に出来ること、出来ないこと

<<   作成日時 : 2012/06/27 00:05   >>

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福島第一原発事故以来大きく取り上げられるようになった、放射線が人体に与える影響に限らず、環境が人体に与える影響について、(自然)科学は、その時点で想定し得る条件下での、具体的な影響が発生する可能性を、示すことしか出来ず、その可能性は想定する条件によって大きく変わります。因果関係が未確定な現象はなおさら。

(自然)科学は判断の材料を与えることしかできません。判断は、(自然)科学の外にある、社会的価値基準(規範)に基づいて行うしかありません。ちょうど1年前の東日本大震災で私達は、科学的には1000年に一度の確立と計算される大災害が、実際にいつ起きるかは、最新の科学をもってしてもまったく予測できないことを思い知らされました。同様に、数百年に一度の確率とされる原発事故が、具体的にいつ起こるかも予測不可能である上に、実際には、確率計算の前提となった想定が、現実の原子力発電所の管理・運営の実態とかけ離れていた、つまり確率そのものが意味をなさなかった事も、私達は思い知らされました。

放射能に限らず、さまざまな、人為的に作られた物質が健康に与える影響も、当初は無害とされていたものが後年の研究で有害とされる場合がある事を、私達は多くの公害問題から学んできました。公害問題では、正確な科学研究が妨害される場面もあるにせよ、そうでなくても科学の定説はしなしば覆されるものであり、それが科学の進歩であり、現実の政策は、科学的知見が将来覆される可能性も想定した上で、決定しなければなりません。

にもかかわらず、今の世の中では、材料を与えることしかできない科学に、判断をゆだねてしまう誤りが、しばしば見受けられます。正確には、価値観に基づく判断を、科学と偽って(必ずしもその自覚無く)他者に押し付ける誤り。これは科学に携わる者にもしばしば見られますが、科学に携わっていない一般市民や政治家、行政官達が、本来の自分たちの判断責任から(しばしば無意識に)逃げるため、科学を権威として悪用する場面の方が、多いかも知れません。

たとえばある量の放射線が癌などの疾病を引き起こす危険を、科学では確率として計算することはできます。しかしその確率をどう評価するかは、評価する人個人がどのような価値観(規範意識)を持っているかの問題です。先にも書いた通り、確率とは、ある前提に基づいた計算値であり、その前提が現実世界の出来事をどの程度正確に反映しているかは、計算を行った時点での、計算を行った人間にとってのベストでしかありません。

ある確率を危険とみなすか安全とみなすかは、科学を離れた価値観の問題、極論で言えば、その時点での経済活動の活性化により重きを置くか、生命維持における人為的リスクの最小化、あるいは、子孫のための自然環境維持により重きを置くかという、規範意識の問題です。

しかし人は往々にして、同じような価値観の人々の中に居ると、自分が拠って立つ価値基準を自覚できなくなり、科学の専門家でさえも、自分の思考のどこまでが(自然)科学に基づくものなのか、社会的価値基準に基づく判断なのかが区別できなくなってしまいます。

このような人達の中で、特定の政治的目的による世論作りで目立った言動をした人達が、「御用学者」というレッテルを貼られてしまったのではいかと思います。
彼らは必ずしも、科学的に不正確な情報を流した訳ではありませんし、彼らのすべてが、意図的に、特定の政治目的に従って発言していた訳でもないでしょう。けれど、彼らは、科学に基づく見解と、自らの価値観に基づく見解とを、分けて説明していたでしょうか? 

「御用学者」というレッテルは、基準があいまいで主観的で、公正さに難はありますが、(自然)科学の専門教育を受けていない人達が、科学者としての適切さを欠いた情報発信をする人物を見分ける目安(生活の知恵)としては、それなりの合理性があることも、否定し難いのではないかと思います。

一方、「反体制」「左翼」と揶揄される科学者の中にも、科学と、価値判断を混同して発言する人達が居ることも、否定し難いと思います。

科学に携わる人達は、科学の範疇で言えることとそうでないことを、常に自覚する必要があると思いますし、科学に携わる人達から情報を受け取る側の人達も、科学を権威主義の道具に貶めないよう、常に注意しなければいけないと思います。

6/27追記:
では、世の中に出回っている、互いに矛盾する内容も多い、原子力、放射線関係の情報に、私たちはどう向き合えば良いのか? 福島大学で編纂され、無料配信されている下記の副読本は、科学的にも倫理的にも、現状で最善を尽くした解説ではないかと思います。
https://www.ad.ipc.fukushima-u.ac.jp/~a067/SRR/FukushimaUniv_RadiationText_2nd_version.pdf

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