さとうひろし 一有権者のブログ 

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zoom RSS 9月30日加筆:情に流され分断と衰退を招く「基地引き取り運動」

<<   作成日時 : 2018/09/30 22:26   >>

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沖縄に集中する在日米軍基地を、沖縄県外(具体的には本州)に引き取ろうとする運動が、一部の市民と大学教員によって、組織的に進められています。私はこの運動について、問題提起としては重要である一方、社会運動としては、国内世論を分断させ、沖縄の基地反対運動への、他県からの応援を阻害し、結果的に沖縄の人達を一層孤立させかねない、無責任な運動だと、認識しています。
https://news.yahoo.co.jp/feature/999

(沖縄県kら県外への)基地引取り運動を推進すべき理由としてまず第一に挙げられるのは、世論調査における日米安保賛成の割合が8割を超えているにも関わらず、在日米軍基地の大半が、沖縄県だけに集中し、沖縄県民だけが、在日米軍基地運用に伴う負担を強いられているという問題点です。
http://wpb.shueisha.co.jp/2017/06/16/86525/
http://wpb.shueisha.co.jp/2017/06/17/86533/
http://wpb.shueisha.co.jp/2017/06/18/86540/

それは確かに非常に深刻で、現実に起きている問題を深く考えず、日米安保に賛成している日本人に、彼らの有権者としての無責任さを自覚させる手段として、基地引取りという毒を彼らの喉元に突きつけるのは、一つの方法でしょう。ただし、それをそのまま、具体的な社会運動として進めて良いことにはなりません。

第一に、現在行われている基地引取り運動は、そもそも日本に米軍基地が必要かという、本来真っ先に考えなければならない問題を、後回しにする手法で、これでは結局、日本国内での、基地負担の押し付け合いを、煽るだけで終わるでしょう。
そもそも世論の8割以上が、日米安保に賛成しているといっても、そのうちどれくらいの人が、日米安全保障条約の条文や、日米地位協定の内容を知っているのでしょうか?基地引取り運動には、ます基本的な問題を、多くの人に理解してもらうという姿勢が見えません。

第二に、一連の引取り運動が、沖縄県への基地への集中が、日本の世論によってもたらされたように、宣伝している点です。
沖縄県に住んでいる方の中には、そういう思っている方も少なくない、というのは否定し難いのでしょう。
けれど、その認識に客観性があるのかどうかは、また別問題です。

確かに 1950年代、(現・沖縄県を除く)日本国内の基地反対運動の影響で、当時日本国内にあった米軍基地の、兵員や装備が、沖縄(当時は米国領)に移転した事実はあるのでしょう。けれどその当時、日本国内で基地反対運動に関わった人達は、基地が沖縄へ移ることを予想して、反対運動を展開してきたのでしょうか? またそれ以降も、沖縄県以外で、米軍基地反対運動に携わってきた人達は、基地が沖縄へ移ることを想定して、運動をしていたのでしょうか? そもそも、日本に米軍基地は要らないという、運動だったのではないでしょうか?

いずれにせよ、在日米軍基地を沖縄に集中させたのは、日本政府(具体的には自民党と外務省)が一方的に決めてやったことで、その責任を、日本人全体に求めるような、現在の基地引取り運動のあり方は、誤りでしょう。責任を問う矛先は、日米安保条約に賛成している人達と、沖縄の在日米軍基地を容認している人達に、限定して突きつけるべきでしょう。そうでなければ(これまで、当事者意識を欠いていた人達に焦点を当てて当事者意識を持つように促す手法を取らないなら)、この運動を、展開する意味は無いと思います。

2018年9月30日追記:
沖縄国際大学の野添文彬准教授によると、日本国内で反・米軍基地運動が盛んになった1950年代末、米国内では、在日米軍基地を米国本国に返すべきという意見が多かったことが、米国内に残された資料から分かるそうで、日本政府側の岸信介総理(当時)も、沖縄での強引な基地建設が、日本本土に居る10万人の琉球出身者を通じて、日本国内での反米軍基地運動に飛び火するのを懸念し、この問題は琉球だけの問題ではなく日本人9000万人の問題であると、米国政府に伝えていたことが、米国の公文書に記載されているそうです。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tateiwayoichiro/20180928-00098462/

つまり、日米両国政府共に、当時日本国内にあった海兵隊基地を、日本国内の反米軍基地運動を沈静化させるために、沖縄(当時は琉球)に移転させたことを示唆する記録はなく、それどころか、沖縄(当時は琉球)での強引な米軍基地建設が、むしろ日本国内の反・米軍基地運動を激化させる懸念を持っていたわけです。こうした記録からも、当時の日本国内での反・米軍基地運動が、沖縄への基地集中を招いた原因だとする主張は、根拠に乏しいことが分かります。


沖縄の基地を、沖縄県以外に引き取らせるのが、本当に大事だと考えるなら、本来は何よりもまず、沖縄への基地集中を先導し、推進させている、自民党と外務省に対して、具体的な要請行動等を起こさなければならないはずですが、少なくともこれまでの報道を見る限り、基地引取り運動を進めている人達も、支援している人達も、自民党や外務省に対しては行動を起こさず、様々な意見を持つ一般国民を一括りにして、(基地引取りを進めないのは沖縄県民に対する差別だと)国民に矛先を向けているだけです。この運動姿勢は本末転倒でしょう。

第三に、現在行われている基地引取り運動は、これまでの、基地反対運動、つまり、沖縄かヤマトかを問わず、日本に米軍基地は必要ないとする運動や、沖縄県内外の、基地反対運動同士の連携を、知っていながら無視している点です。本来、これまでの基地反対運動を否定する方策を採るのであれば、これまでの、沖縄だけでなく、日本のどこにも米軍基地は要らないという運動より、基地を沖縄県外で引き取る運動の方が、早期に、沖縄の米軍基地を減らせると見込める根拠を示さなければいけないのですが、彼らは未だ、その根拠を示してはいません。

基地引取り運動を支持する、東京大学教授の 高橋哲哉氏も、これまでの反基地運動は成果が出ていないと批判するものの、では、自分が支持する基地引取り運動が、どのような理由で、従来の運動より、沖縄からの米軍基地撤退に関して大きな成果が期待できるのか? 具体的根拠は何も示していません。
http://gendainoriron.jp/vol.11/feature/f07.php

すくなくともこれまで報じられている範囲では、基地引取り運動の参加者達は、単に思想を宣伝しているだけで、沖縄県の各米軍基地の移転先として、それぞれ具体的に、何県のどの地域なら可能なのか? その候補地検討すら始めていません。これでは、彼らが声高に思想を宣伝している間に、辺野古の基地も完成してしまうでしょう。

沖縄県の辺野古や高江での、米軍基地や訓練施設建設に反対する運動で、現場の陣頭指揮を撮り続けている、沖縄平和運動センター議長の山城博治さんも、平和運動の連帯を大切にする必要性から、基地引取り運動には賛成できないと、発言しています。
https://news.yahoo.co.jp/feature/999


以上を整理すると、現在の、基地引取り運動は、下記の理由から、これまでの在日米軍基地反対運動や、日米安保見直し運動を、社会から孤立させ、沖縄への基地集中を一層長引かせるだけの、無責任な分断工作にしか、なっていないと思います。

1.既存の基地反対運動を、結果が出ていないと批判しながら、自分達の手法が、より優れた結果を出せる見通しを、一切示していない(辺野古基地建設に向けての埋め立て工事が、始まろうとしている中、基地引取り運動の推進者達は、辺野古に計画されている規模の基地を移転させられる具体的な候補地制定作業すら、始めていない)。

2.全国の基地反対運動や、平和運動に携わる人達と、既に長年、連帯して運動を続けている、沖縄県民を無視している。彼らに対する、建設的な提案を、何一つしていない。

3.日本政府(自民党と外務省)が一方的に進めた、沖縄県への在日米軍基地集中に関し、多様な日本の世論を一括りにして、(沖縄県民以外の)日本人の責任だと主張。本来落ち着いて分析し、広く国民に知らせなければならない、責任の所在を、あいまいにしている。そればかりか、本来真っ先に矛先を向けなければならない、自民党と外務省に対して、特別な行動を起こすことなく、一般国民に対してのみ、(本土に米軍基地誘致をしないのは沖縄県民に対する差別だと、)矛先を向けている。


実際、最近は基地引取り運動も、幾多の批判を受けているせいか、運動継続のために目標を変えているように見えます。

昨年秋、日本平和学会2017年度秋季研究集会で、新潟県立大学の福本圭介氏が発表した、「基地引き取り運動とは何か?─その認識、方法、希望─」によると、基地引取り運動は現在、普天間基地の、(沖縄県外への)移設先を具体的に議論する前に、日本に米軍基地が必要かどうか?当事者意識を持った国民的議論を行う。と、しています。
https://www.psaj.org/2017/10/20/%E5%9F%BA%E5%9C%B0%E5%BC%95%E3%81%8D%E5%8F%96%E3%82%8A%E9%81%8B%E5%8B%95%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B-%E3%81%9D%E3%81%AE%E8%AA%8D%E8%AD%98-%E6%96%B9%E6%B3%95-%E5%B8%8C%E6%9C%9B%E3%83%BC/

けれど、もしそのような軌道修正をするなら、国民的議論も始まらないうちから、既存の平和運動を、勝算もなく批判して、基地引取り運動を、進める必然性が、どこにあるのでしょう?

基地引取り運動とは、少なくとも現時点では、従来の基地反対運動を分断させるだけの、イデオロギーの宣伝に過ぎず、
沖縄にある米軍基地を減らす方策は、何一つ示していない点に、注意しなければなりません。



私は、この運動には、関わらない方が良いと思うので、引き続き、(沖縄に限らず)日本に米軍基地は要らない(現在の日米動面のあり方を見直すべき)という趣旨での基地反対運動に、参加や支援を続けたいと思います。

続く





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