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zoom RSS 必然(パイオニア株式会社の凋落)

<<   作成日時 : 2018/11/14 02:07   >>

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かつてこの企業から、会社都合で解雇された一人である、私の目から見れば、これは「孤高が招いた漂流」などではなく、結局のところ、幹部同士の属人的な人間関係(〇さんがああ言ったから、▽さんがこうだから・・)で全てが決まっていった必然だろうと思います。一見もっともらしい、経営ポリシーはいろいろ掲げられましたが、それらは後付けの体裁造りというのが、私が勤務していたころからの、多くの従業員の実感でした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37207710R01C18A1000000/?fbclid=IwAR35usyT5xvvXjmIalvLtuS1a1mQUWSf2hD7ZGipUpjLNoWbeX84m8oZ3RI

今にして思えば、1990年代に掲げられた、戦略なき一兆円企業構想が、転落のはじまりだったのではないかと思います。具体的な商材の展望もなく、連結売上一兆円を目指す無謀さは、当初から社内でも指摘されていましたが、経営陣はお構いなしに、一兆円を前提にした財務計画(=机上の空論)を、各事業部に押し付けました。当然そこからは、実売に結びつくような商品も、販売戦略も出るはずもありません。

商品化ではパイオニアが先鞭をつけた、DVDプレーヤ、DVDレコーダも、一兆円企業につながる膨大な(松下はじめ大手家電とトップシェアを争えるような)売上高が期待できる商品戦略が生まれることもなく、生産コスト削減の要求に応えるべく、回路の集積化推進などしたものの、大手家電に対抗できる商品は出来ず、マニア向けの高級路線では、後発の三菱電機に高評価を奪われてしまう。

液晶ディスプレイと比べ、高画質ではあるものの、生産コストは高く、重量も重く、消費電力も大きいプラズマディスプレイは、マニア向けの小さな市場に向く技術だったにも関わらず、一兆円企業という体裁に合わせるため、液晶ディスプレイとの価格競争に適応できる量産技術もないまま、NECの子会社を買収するなど、生産力だけを急拡大したせいで、収益は悪化の一途を辿り、従業員の一斉大量解雇を招いてしまう。

今世紀のはじめ、”一兆円企業”の無謀さがはっきりしてくると、経営陣は突然、”PDCA(Plan, Do, Check, Action) cycle”を叫び始めました。

PDCAサイクルとは本来、企業の業務すべての工程に渡って、計画されたことが、ほんとに実行されているか? 計画時点での目論見からのずれはないか? 必要な計画修正は何か? 必要な計画修正は実行されたか? を、きちんと(記録に残る形で)漏れなく確認するマネジメントを指しますが、当時のパイオニアの経営陣は、売上が思うように伸びないのは、管理職が経営陣の言う事を守っていないからだと言い、取締役が決定する事項をPDCAの対象にはしませんでした。

つまり、収益悪化の原因だった経営方針を、聖域にしてしまったため、無謀な経営方針による収益悪化は改善されるどころか、一時的な揺り戻しはあったものの、悪化の一途を辿りました。今にして思えば、一時的な揺り戻し(収益改善)の裏では、問題の先送りが横行し、やがて先送りの弊害が、揺り戻しよりも大きな経営悪化となって、表面化していたのでしょう。

今世紀に入ると、パイオニアの屋台骨だったカーオーディオ、カーナビゲーション事業も、商品自体の低価格化競争に加え、iPodなどのディジタルオーディオプレーヤ、更にはiPhone などスマートフォン(のナビゲーションアプリ)普及に伴う、代替市場の拡大が進み、じわじわと収益が悪化して行きました。

カーオーディオ用の小さな筐体に、CDドライブやDVDドライブなど、メカニカルな機構を、車載品に求められる高い信頼性と耐環境性能を保ちながら、組み込む技術(ノウハウ)に強みがあったパイオニアにとって、情報の固体メモリ化、更にはネット配信化の普及が、大きな脅威になるという認識は、今世紀の初めには既に、カーエレクトロにクスの開発部門内では共有されていました。が、結局その危機感も、具体的な新規事業を生むには至りませんでした。

私が会社を解雇された2009年以降も、大規模な事業撤退(または売却)と従業員解雇は繰り返され、遂には日経新聞でも報じられた通り、DVD,プラズマディスプレイといったホームエレクトロ二クス事業が自滅した後の屋台骨だった、カーナビゲーション事業まで、存続の危機に陥ってしまいました。

今から30年近く前の1990年頃、レーザーディスク(カラオケ)事業が順調に収益を伸ばしていたパイオニアの社内では、当時パイオニアとは対照的に、ビデオデッキ事業の収益悪化で、存亡の危機に陥っていた日本ビクターの窮状を見て、私も含め、多くのパイオニア社員は、半ば冗談で、「明日は我が身か?」と語っていましたが、実際、それから十数年後には、我が身になってしまったわけです(その時は絶好調だったレーザーディスク事業も、1990年代に入ると、通信カラオケの普及で、急速に衰退した)。

昔から、転ばぬ先の杖、とは言いますが、事前に予想された危険に対しては、全力を挙げて対処しないと、パイオニアのようになるわけです。この会社の凋落要因で、事前に予測できなかったことは、ひとつもなかったと、思います。



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