2019/08/28 追記:資料紹介:性奴隷(従軍慰安婦)問題

安倍政権が河野談話を見直すかのような姿勢をマスコミ発表したことで、再び注目され、米国をはじめ多数の国々から批判を浴びた従軍慰安婦問題ですが、本人の意思に反して慰安婦にさせられた被害者が居たかどうかと、それが、正式な命令系統を通じて行われた行為かどうかという問題は、分けて考えなければなりません。

後者は当時の日本政府内部の責任問題であり、今となっては歴史学の問題ですが、前者は、その加害者が日本の国家権力を利用したのであれば、日本政府は、被害者に対する責任を免れません。それが記録に残された公式命令によるものかどうかは関係ありません。
http://d.hatena.ne.jp/dj19/20121213/p1

また私たちは、自国政府の責任を認めることによってはじめて、他国政府による同様な人権侵害を批判することができます。


「韓国軍のベトナムでの性暴力、謝罪を」元慰安婦ら会見
http://www.asahi.com/articles/ASG374Q7LG37UHBI028.html?iref=com_rnavi_arank_nr02

4/21追記:
http://www.kanaloco.jp/article/70041/cms_id/76481

8/18追記: いわゆる従軍慰安婦という性奴隷は、当時の日本の法令にも違反していたという指摘
http://www.shirakaba.gr.jp/home/tayori/k_tayori157.htm

9/08追記: 
フジテレビ創設者の鹿内信隆が、自身が在籍した日本陸軍による従軍慰安婦管理の実態を、『いま明かす戦後秘史』(サンケイ出版/絶版)という書籍に遺しており、以前は保守系陣営自らが、従軍慰安婦が軍の管轄であったことを公然と語っていた。という指摘。
以下、一部引用

>鹿内は召集後、1939年4月から9月にかけて陸軍経理学校で軍の後方支援のノウハウを学んでいたのだが、そのときに、慰安所の作り方も叩き込まれたというのだ。しかも、その内容は今、右派メディアがしきりに喧伝している「公衆衛生の管理だけ」というようなレベルではない。鹿内の発言に「調弁する女」という表現が出てくるが、「調弁」というのは軍隊用語で兵馬の糧食などを現地で調達するという意味。つまり、これは陸軍が慰安婦の調達に関与していたということではないのか。
 さらに衝撃的なのが「女の耐久度とか消耗度、それにどこの女がいいとか悪いとか(中略)といったことまで決めなければならない」という発言だ。当時の日本軍が現地の女性を完全にモノ扱いし、どんな女がいいのかを品定めする作業までをも士官に命じていたことを証明するものだ。
 断っておくが、この鹿内発言は老人の妄想でも記憶違いでもない。靖国神社の一角に靖国偕行文庫という図書館があるのだが、そこにこの鹿内発言を裏付ける一冊の本が所蔵されている。
 300ページ以上はあろうかという分厚いその本のタイトルは『初級作戦給養百題』。昭和16年に陸軍主計団記事発行部が発行した、いわば経理将校のための教科書だ。
  表紙はハードカバーで、「日本将校ノ外閲覧ヲ禁ス」という文字。その9ページ目、第一章総説に、師団規模の部隊が作戦する際に経理将校が担当する15項目の「作戦給養業務」が解説されているのだが、その最後の項目「其他」の解説に以下の任務が列挙されていたのだ。
1 酒保ノ開設
2 慰安所ノ設置、慰問団ノ招致、演藝會ノ開催
3 恤兵品ノ補給及分配
4 商人ノ監視
 ようするに、陸軍の経理将校向け教科書に任務として「慰安所ノ設置」が掲載されていたのである。軍が関与したのは衛生面の管理だけという保守派の主張が、明らかな嘘だということがよくわかるだろう。
http://lite-ra.com/2014/09/post-440.html

9/9追記:
法務省も、1962年の段階で既に、旧日本軍が軍命で従軍慰安婦を連行していた事実を把握していたことが、国立公文書館に保管されていた資料から判明。以下、記事を引用:

>旧日本軍の従軍慰安婦問題で、太平洋戦争中にインドネシアのバリ島に海軍兵曹長として駐屯していた男性が、1962年の法務省の調査に「終戦後(慰安所を戦争犯罪の対象に問われないよう)軍から資金をもらい、住民の懐柔工作をした」と供述していたことが分かった。
 元兵曹長は「(慰安婦として)現地人など約70人を連れてきた」「他にも約200人を部隊の命で連れ込んだ」と連行の実態も説明していた。
 関東学院大の林博史教授(日本近現代史)の研究室が国立公文書館(東京)保管の資料で見つけた。林教授は「河野洋平官房長官談話が認めた軍の関与を裏付けるもので重要だ」と評価している。
2014/03/22 17:53 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014032201001850.html

10/17追記:
日本政府が、クマラスワミ報告の修正を国連に要求し、世界各国から厳しく非難されている件
http://maeda-akira.blogspot.jp/2014/10/blog-post_15.html


2015年4月6日追記:
今日知ったのですが、従軍慰安婦問題について、これまで分かったことをまとめて紹介するサイトがありました。
http://fightforjustice.info/


2017年11月25日追記:
日本政府は、未だ、従軍慰安婦の確保の過程で、軍による強制連行があったことを認めていませんが、実は、第2次大戦当時の日本軍が発行した公式証明書の中に、慰安婦を連行するとの、具体的記述が残っているそうです。
http://d.hatena.ne.jp/scopedog/touch/20150410/1428689812#20150410f2
http://ameblo.jp/qtaro9blog/entry-11779758678.html

これは、当時中国に駐留していた台湾混成旅団(塩田定七少将を旅団長とする、通称塩田兵団)に所属する台湾歩兵第1連隊(林部隊)(連隊長・林義秀)に所属する慰安所の経営者を、慰安婦連行のために、台湾に向かわせるための証明書で、以下の文面の証明書が発見され、吉見義明著「従軍慰安婦資料集」の133頁に、その文面が掲載されているそうです。

証明書
■■■■←慰安所の経営者名は、プライバシー保護のため伏せられている。
当年二十二歳

右ハ当隊附属慰安所経営者ニシテ 今回 慰安婦連行ノタメ帰台セシモノナリ
就テハ 慰安婦ハ当隊ノタメ是非必要ナルモノニ付 之カ渡航ニ関シテ何分ノ便宜附与方取計相成度
右証明ス

昭和十五年六月二十七日
南支派遣塩田兵団林部隊長 林義秀


2017年11月25日追記:
従軍慰安婦についての証言収集は、日本国内でも続けられています。
旧満州のチチハルでは、従軍慰安婦の徴用を、軍が業者を介さず直接行っていたと述べた、元日本兵の証言の詳細が、昨年公表されています。また証言によれば、軍が徴用した慰安婦の中には、「看護婦の募集」だと、騙されて慰安婦を強制された女性も居たそうです。
http://testimony-of-grandfather.webnode.jp/

また、「朝鮮総督府部内臨時職員設置制中改正ノ件(昭和19年7月12日、閣議決定)」という公文も残っていて、そこにはるそうで、そこには、朝鮮総督府管内においても、国家総動員法に基づく労務調整令による動員も警察による動員によって、青少年女子が、軍慰安所の「酌婦、女給」として動員されたことが記載されているそうです。
http://masato555.justhpbs.jp/newpage147.html


2019年8月28日追記
性奴隷の扱い方を記載した旧日本軍の公式文書は、実は戦時中既に、米軍によって翻訳され、保管されていたそうで、その資料の内容を、日本政府も承知しているそうです。
https://note.mu/tkatsumi06j/n/na61cc2f6db29
https://twitter.com/i/moments/1162549090586021889
https://togetter.com/li/928203

アジア女性基金も、性奴隷(従軍慰安婦)に関するディジタルアーカイブを、インターネット上で公開しています。
http://www.awf.or.jp/index.html

世俗人を祀るは宗教に非ず(LOVEさんの素直な疑問)

8/14の昼に放送された、TOKYO FM の番組”LOVE CONNECTION”でのこと。パーソナリティーのLOVEさんが、毎日新聞論説委員の平田崇浩氏語る”NEWS CONNECTION”のコーナーで、靖国神社問題について、人間を神にして祀る宗教を、海外の人に理解してもらうのは困難で、靖国問題(A級戦犯合祀の是非について)は、これからも平行線のままになりそうだと、語っていました。この発言は残念ながら、番組の公式ブログではカットされてしましましたが、日本国内では見落とされがちな、重要な視点だと思います。

言われて見れば、日本以外の国で、戦死した兵士など、俗世の出来事のために尽くした人間を祀るのは、(地域限定の)民俗・風習に属する文化で、宗教とは別の概念とみなされます。実際、そうした風習に人々が期待するのは大抵、現実社会の生活でのご利益で、(少なくとも建前上は)現実世界の利益から離れた所に価値を見出そうとする、宗教における信仰とは全く異質なものです。

日本の神社は、形式的には一応、神官が居て巫女が居て、参道には鳥居があるなど、統一された様式はあるものの、そこで何が祀られているかと言えば神社ごとにばらばら。五穀豊穣や無病息災、子孫繁栄など、現世のご利益のためという共通点はあるものの、樹木や岩石、山といった自然環境の一部が祀られたり、広い意味での政治(戦闘も含む)で貢献のあった人を神格化して祀ったり、逆に、政治的に不遇なまま生涯を終えた人や部族を(祟りを恐れてか、その関係者からの復讐を防ぐためか?)神格化して祀るなど、様々な自然崇拝や呪術の総称と言った方が良いかも知れない存在です。

そして日本の神社が、もともとは、現在「宗教」と呼ばれる体系立った、かつ現実社会での利害や優劣・豊かさとはと関わりを絶った価値を尊ぶ思想ではなく、現実生活に直結した見返りを期待する、いわゆる”原始”宗教だったからこそ、少なくとも明治維新までの間は、宗教施設である仏教寺院とも共存できた(寺院の敷地の中に神社の祠がある、など)のではないでしょうか?

それが明治維新以降、神社と、様々神社で継承されてきた様々な(原始宗教の範疇に入る)伝承・思想の集合体だった神道が、国民の精神を支配する道具として再編され、神格化された天皇と結び付けられたことで、あたかも神道を、(”原始”というただし書きのつかない、国や民族を超えて広まる)宗教と同列に語る人が、多くなったのではないかと思います。

現実世界の生活での見返りを求める気持ちや、人種や民族を比較する発想を(少なくとも建前上は)絶った、仏教やキリスト教、イスラム教のような宗教が、信仰として一般化している社会で生まれ育った人達にとって、神道を宗教とみなす考えは、理解困難だとしても、何ら不思議ではないでしょう。

ましてや近代国家が、政府側について命を落とした将兵だけを、神格化させるための施設を造って、更にそれを宗教法人にするというのは、”宗教”を真面目に信仰している人達から見れば、まさに、神をも恐れぬ、理解し難い行動かも知れません。

日本社会にはこれからますます、明治政府が造った、特異な文化や価値観について、日本の外からの視点で客観的に、考える必要があるのだろうと、思います。



2019/09/39 追記:テロを隠れ蓑にした検閲(愛知県は被害者というより共犯者)

去る8月3日、愛知県は、県知事が実行委員長を務める「あいちトリエンナーレ」の企画「表現の不自由展・その後」について、出品者に何の聯絡もせず、一方的に、展示中止を通告しました。展示中止を発表した記者会見で愛知県知事は、あたかもテロの心配があったために止む無く展示を中止したかのような説明をしましたが、実は会場の警備に、機動隊員など、暴力犯罪に対応した警官を配備することもなく、警備員に警備させるだけでいたなど、そもそも県に、暴力を防ぐ意思があったのか?報道内容を見る限りでは、極めて疑わしいです。

https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20190804-00137002/
https://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2019080402000069.html
https://www.huffingtonpost.jp/entry/aichi_jp_5d45462ce4b0acb57fccde0c
https://news.livedoor.com/article/detail/16876159/
https://www.asahi.com/articles/ASM836G75M83OIPE02G.html?iref=pc_extlink
https://www.asahi.com/articles/ASM835SDPM83OIPE01R.html
https://news.yahoo.co.jp/byline/akedotakahiro/20190805-00137053/
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinodahiroyuki/20190804-00136942

県の対応で不可解なのは、県警に警備強化を指示した形跡が見られないだけではありません。テロ予告を含む、数多くの脅迫が、業務に支障を来すほど実行委員会に殺到していたにも関わらず、実行委員長である県知事が、展示の妨害や脅迫を受け付けない、毅然とした姿勢を何ら示すことなく、突然展示中止を決めた点。実行委員長が、脅迫に無言では、脅迫する側が勢いづくのは当たり前で、芸術監督の津田大介氏が記者会見で、
>休止の選択肢もありました。しかし休止は(抗議の)電話を減らす効果がない、火に油を注ぐ可能性もあります
と、中止受け入れの理由を述べた背景には、実行委員長である愛知県知事の、怠慢があると考えられます。

更に愛知県警の対応も極めて不自然で、愛知県警は、無差別テロ予告のFAXが送られて来たのを把握していながら、FAXが匿名化されているという口実で、捜査(通信経路の解明)をしなかったことが、津田監督自身のツイートによって暴露されています。もし、匿名化されたFAXの発信源を捜査することが、県警の言う通り、本当に不可能なのであれば、日本は、公衆通信回線を利用した犯罪は、やりたい放題の国ということになります。

これらの経緯を見ると、愛知県は、テロ予告などの暴力に屈して、展示中止を決定したというより、テロ予告を隠れ蓑に、法で禁じられた検閲に手を染めたと、理解した方が良いのではないかと思います。実際、実行委員長が、出品者側に、何の連絡もなく一方的に展示中止を通告し、出品者である「表現の不自由展・その後」実行委員会が抗議声明を出している状況を見ても、愛知県の対応は、出品者に対して高圧的なもので、出品者への配慮が感じられません。
https://www.asahi.com/articles/ASM837HV0M83OIPE034.html
https://jp.reuters.com/article/idJP2019080301002161

更にツイッター上では、
>警察はすべて分かった上で止めてる様です。愛知県警だけで判断できないレベルの政治案件に成っています。県警は津田大介さんにも、そのFAXを公開する事を止めています。
と、脅迫自体が、県の権限を越えた政治案件であることを、示唆したツイートも出ています。

私は、これらの経緯を見て、愛知県に対しては、憲法と法を遵守し、暴力・脅迫は容認しない姿勢を国内外にアピールした上で、会場の警備強化をして展示を再開すべきと、提案しました
また愛知県警に対しても、警察が法の番人であることを、国内外にアピールした上で、テロ予告犯や、実行委員会を脅迫した者を検挙すべきと意見を送りました

あいちトリエンナーレの会場にはこれまで、入場券を持っていれば、誰でも入場できましたが、日本国内のイベントでも既に、入り口で、来場者の荷物をチェックしたり、会場に持ち込める荷物を制限するのは珍しいことではなく、海外に目を向ければ、例えばパリのポンピドーセンタ-では常時、入館者の荷物チェックを行っています。テロを未然に防ぐ手段は様々あり、とりわけ、あいちトリエンナーレへの脅迫文にあった、ガソリン缶を持ち込むような、小回りの利かない原始的なテロならは、会場周辺の警備を強化するだけで抑止可能です。

要は、愛知県に、表現の自由を守る意思があるか否かの問題でしょう。

2019年9月3日追記:
去る8月24日にネット上で公開された、下記の記事(骰子の眼「あいちトリエンナーレ津田大介芸術監督インタビュー」)では、愛知県警が、「あいちトリエンナーレ」関係者に被害届を出させないよう、一貫して捜査に否定的な姿勢を取り続けている実態が、暴露されています。
http://www.webdice.jp/dice/detail/5849/

以下、該当部分を引用します:
──「大至急撤去しろや、さもなくばガソリン携行缶を持って館にお邪魔するので」と書かれたファックスによる脅迫事件について教えてください。容疑者の堀田修司が逮捕されたのが8月7日ですが、被害が発表されてから被害届が受理されるまでタイムラグがあったそうですね。脅迫なのに、なぜ警察がすぐ受けつけなかったのでしょうか?
津田:これは全然報道されていないので最も誤解が大きいところですね。また、不自由展実行委とも大きく認識がずれているところです。8月22日に東京で開催された緊急シンポジウムで不自由展実行委の小倉利丸さんが「抗議電話は7月31日、8月1日からあった。我々は暴力の予告があれば警察に委ねるよう言っていた。ガソリンファックスは8月2日だが警察に届けたのは8月6日。メールについての被害届は8月14日。これはサボタージュだ」と発言され、会場からも大きなどよめきと疑問や運営側を責める声が上がったそうです。しかし、端的に言ってこれは事実誤認です。現場で何が起こっていたのかといえば、初日の8月1日から3日まで、落ち着いた展示空間とは異なり、事務局はずっとトラブル対応に追われていました。そんな中、あの脅迫ファックスが来たのが2日の早朝です。脅迫ファックスが届いたと現場が大騒ぎになり、すぐに事務局はすぐ警察を呼びました。通報を受けてやってきた所轄の警察署員がファックスを見て、ヘッダーのところにある番号が5ケタだったため、「これだと発信者はわからないね」と、そっけない対応をされたそうです。このことは後から聞いて判明したことなのですが、いずれにせよ現場に来た警察署員の対応で終わっていて、そもそも被害届を出すような状況ではなかったということです。2日夜に捜査の状況を知事とともに確認しているときに、知事から言われたのは「警察からはファックスが匿名化されていて送り先がわからないと聞いている」という旨の話を聞きました。自分の中では引っかかりがありましたが、そのときはまさに不自由展を中止するかどうかを判断する瀬戸際で現場も大混乱していたため、あとで自分で調べようと思いました。3日の17時に、大村知事が記者会見を行い、不自由展の中止を表明。その後僕が単独記者会見を行い、不自由展のメンバーが記者会見を行いました。後片付けなども含めてすべてが終わったのは深夜でした。

8月4日になり、まだ現場の混乱は続いていましたが、多少僕に余裕ができたので、今回の中止の背景にある脅迫事件を何とかしなければならないと思って、脅迫ファックスの原本を見せてもらいました。実際に見たら発信者番号のところに5ケタの番号が書いてあった。これを警察の捜査にも詳しい専門家に見せたところ、機種は恐らくゼロックスG4で、オフィスにある複合機から送っているのではないかという分析が返ってきました。

その情報をもとにうちの会社の社員が5ケタの番号を解析したところ、オフィスの複合機ではなく、コンビニの可能性があるということがわかりました。コンビニの複合機は主にゼロックスを導入しているセブンイレブンと、それ以外のコンビニで多く使われているシャープの2つがあり、さらに解析すると、ゼロックスではなくシャープのヘッダーで、5ケタの番号はコンビニの店番号じゃないかということまでわかった。つまり、犯人は匿名化を全然やっておらず、単にコンビニから送っただけで、その店番号をウェブサイトで検索してみると普通に店舗名が出てくるんです。そこで、愛知県内のコンビニの特定までできました。送信時間まではわかってますから、あとはコンビニの監視カメラをチェックすれば犯人がわかる。とにかく早く警察に動いてほしかったので、こちらで調べた状況をテキストにまとめて事務局経由で警察にあげてもらいました。そうしたらその翌日に警察から「被害届を出してくれ」という連絡がきて、ようやく出させてもらえて、その1日半後に容疑者が逮捕されたというのが経緯です。

──堀田修司は、別に本気でやるつもりはなかったと言っているそうですね。
津田:恐らく愉快犯でしょうね。しかし、だからといってトリエンナーレがさらされている脅威が除去されたという単純な話でもありません。これ以外にも多くの脅迫があるからです。一日中抗議電話や脅迫電話があるなかで、あのファックスが届いた。それは愉快犯であったとしても、職員の精神的な状況は察するにあまりある。

──そのほかメールでの脅迫も大量にきていると。
津田:大量の脅迫メールが届いたのは8月5日の朝からです。あいちトリエンナーレ事務局にも来ましたけれど、それだけではなく、教育委員会への小中学校の爆破予告や職員に対しての射殺予告など、愛知県の関連施設に大量に送られてきました。それが760通、何回かに分けて送られてきました。こちらも届いたその日に警察には相談していますが、被害届は出させてもらえませんでした。メールのヘッダーを見せてもらって分析したら、偽装された形跡はありませんでした。ある宗教団体のメールサーバーを使って送られてきていんたんです。一目で見ておかしいと思いました。

──僕へのDMでは、×××と言われていますよね。
津田:その宗教団体がまさかそんなことをするとは思えないし、文面を見てみると明らかにおかしい。いろいろ調べてカラクリがわかりました。この手法自体を話すと今後別の愉快犯に悪用されかねないので詳細は避けますが、一言でいってソーシャルハッキングみたいなものだと思いましたね。宗教団体のメールサーバーを使って脅迫メールを送ったらIP開示請求をその宗教団体にしなければならないわけで、警察も動きにくいでしょう。その宗教団体に依頼してIPアドレスを提出してもらうのも手間だし、そもそも適切にIPアドレスを管理しているかも、協力してくれるかどうかもわからない。そして、ここまで悪知恵が働いて身を隠そうとしているなら、IPアドレスがわかったとしても、その先も匿名化されているだろうなと思いました。いずれにせよ、この件もずっと警察には働きかけていたんですが、なかなか動いてくれなかったですね。

──大村知事からの働きかけはなかったのですか?
津田:もちろんお願いしました。大村知事からの働きかけもあって、少しずつ動き始めた感じです。同時に正攻法でいこうとも思って、僕らがその宗教団体に電話して、理由を説明してIPアドレスを出してもらえないかとお願いしました。非常にその宗教団体は協力的で、状況を理解して2日後にIPアドレスを出してくれました。事前に予想した通り、IPアドレスを調べてみるとTorという匿名通信の手法により匿名化されていました。セキュリティに詳しい専門家に見てもらいましたが、この出口ノードだけでは本人特定は難しいと言われました。8月14日にようやく被害届を受け取ってもらえて捜査に入ってくれたので提供されたIPアドレスを事務局経由で警察に送りました。それまでに9日間かかりました。不自由展実行委の言う、我々が警察に届けてなかった、サボタージュしていたというのは誤解ですし、間違っています。むしろ、この対応に全力を挙げていたことが不自由展やトリエンナーレに参加した作家とのコミュニケーション不足を招いて、いまのような事態に陥っているので、それを「サボタージュしていた」と言われるのは辛いですね……。そして、「警察に脅迫が届いたその日から何度も捜査してくれとお願いしている、このことをメディアも報じてほしい」と報道各社には何度も繰り返し囲み取材などで伝えているのですが、このことをまともに取材して報じてくれるメディアはありませんでした。だから今日僕はこのwebDICEのインタビューを受けているわけです。

特に最初の2週間は、トリエンナーレが崩壊しそうになっている中で、これらのことを同時に対応しなければいけなかった。東浩紀には「なんで脅迫犯の対応や分析を芸術監督自らやってるんだ。それは行政がやるべき仕事であって芸術監督の仕事じゃない」と批判されましたが、なかなか警察の捜査が進展しない状況で、まずこの対応をきちんとやらないとトリエンナーレが崩壊すると思いました。安全で円滑な管理運営をする現場監督は自分。だから動かざるを得なかったという認識です。

引用おわり


2019年9月30日追記:
なお、「表現の不自由展・その後」を中心に追い込んだ脅迫電話のうち、少なくとも一件は、自民党員が掛けていたことが、既に明らかになっています。
https://mobile.twitter.com/FFMatudo/status/1177962219759267845

この自民党員は、ネット上で松平美濃守と名乗り(脅迫の電話をかけたことが世間に知られた後、ハンドル名を変えている)
>自民党員 (河野太郎防衛相支持)。 座右の銘は「お天道様は見ています」。アイコンは不屈の宇宙飛行士、アラン・ シェパード。日本核武装論&パチンコ廃止論者。FGO民(ゆるめ/強運)
という自己紹介で、自ら自民党員であることをアピールしていましたが、
あいちトリエンナーレ検証委員会が一連の電話の音声を公開した際、自分の音声を勝手に公開したと腹を立て、そのことをツイートしてしまった(自分が電話の主であると名乗り出た)ため、そのツイートを数多くのネットユーザにスクリーンショットされてしまい、彼が「表現の不自由展・その後」を中止するよう脅した人物の一人であることが、世間に知れ渡ってしまいました。

またこの、松平美濃守と名乗っていた人物が、岐阜県大垣市在住の自営業者(HP制作請負などの)らしいことも、ネットユーザの追跡によって、明らかになっています。
http://okinawansea.hatenablog.com/entry/2019/09/28/231736