短文投稿:ほんとはいつからだったのか?(自己責任の蔓延)

今世紀に入ってからの日本固有の(悪い意味での)社会現象としてしばしばメディアに取り上げられるようになった「自己責任」。ほんとうに今世紀にはじまった風潮なんでしょうか?

社会学者の橋本健二氏(早稲田大学教授)は、”自己責任”を明確に拒絶する政策要求で注目を集めた、山本太郎について語るインタビューの中で、日本に蔓延する”自己責任”について、下記のように述べています。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69315

---- 以下引用 ----
>橋本「ものごとを選択する余地がある場合に限り、人びとは責任を問われるべきです。アンダークラスの人びとに自己責任論は成立しません。低賃金で不安定な仕事を社会的に強制されているのです」

(中略)

橋本「自己責任論には表と裏、プラスとマイナスのふたつの側面があります。プラスは『自分が恵まれているのは自分のおかげだ』、『自分が努力し、能力があったからだ』という側面です。これがマイナスにはたらくと、『自分が貧乏なのは自分のせいだ』となります。これは表裏一体の関係です。新中間階級はこれまで勉強や仕事で成功してきた人たちです。この人たちはまず、自身の成功を プラスの側面で考える。『自分の地位や財産は自分で築いたものだ』という見方です。

そしてこの層の人びとは論理的にものを考えますから、いま世の中にある貧困についても同様の考え方をする。『貧しいのは本人の責任だ』。そうしておかないと論理整合性がとれないのです。こうして、強固な自己責任論が成り立ちます」

---- 引用ここまで ----

このような解説を読むと、私の親や祖父母世代にも、今で言う”自己責任”を振りかざしている人達は、決して、珍しくなかったような気がします。

考えてみれば、日本社会でよく言われる、「感謝の気持ち」や「思いやり」というのは大抵、私が小学生のとき受けた道徳の授業なども含めて、キリスト教社会で言われる”博愛”や、仏教で言う”慈悲”とはいささか違って、自分との利害関係(金銭面だけでなく、世間体など社会的評価も含めて)が見通せる相手に、限られた話だったように思います。

それに加えて、その、利害関係が見通せる範囲でさえ、歳を取るにつれて、重要な評価基準が、感謝でも思いやりでもなく、競争の中のポジションになって行く。

私が、物心ついてから今に至るまで、日本の社会は半世紀以上一貫して、そういう方向に変化し続けているように見えます。

そういう社会の中で、安定した居場所を確保した大人達が、若い世代を、勝ち負けの軸でしか評価されない(どころか生活基盤さえ奪われかねない)世界に追い詰めながら、勝ち負けに縛られた世代を捕まえて、「お年寄に席を譲らない」だの「思いやりが無い」だのと、マウンティングして自分達の正義を誇示する。

その延長線上に現れたのが、今世紀に入って過激化した、”自己責任”による、日本社会の自滅ではないかと思います。

更に今世紀に入ってからの特徴は、政権側の政治家が自己責任の名の下、本来国家が責任を持たなければならない、国民の安全や、健康までも、公然と国民の側に責任転嫁をするようになった点です。

そのきっかけは、イラク戦争において、イラクで人質となった日本国民に対する、政権側(自民党)の政治家による非難ですが、
https://bunshun.jp/articles/-/9514
自民党の政治家たちがこぞって、日本政府の退去勧告に従わなかったことを、無責任だと非難していた一方、当時米国政府の国務長官だった、コリン・パウエル氏は、イラクで捕らわれた日本人の人質について
>より良い目的のため、みずから危険を冒した日本人たちがいたことを私はうれしく思う
>彼らや、危険を承知でイラクに派遣された兵士がいることを、日本の人々は誇りに思うべきだ
とコメントしたのを忘れてはいけません。

自民党の政治家は、権力の指示に従うかどうかを、唯一の善悪の判断基準にしていたのに対し、
パウエル氏は、イラクへの攻撃の中心となった米国の閣僚という立場でありながら、戦場からの退避を拒否した彼らについて、権力の都合ではなく社会的な観点から評価したわけです。


日本では今なお、現実に起きている日本社会の自滅に対して、明確に”NO”を突き付けているのは、日本の野党の中でも、共産党社民党、そして、(俗に、ロストジェネレーションと呼ばれる世代の)山本太郎(率いるれいわ新選組)しか見当たらないのが実情です。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65987









ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント