前世紀の集大成

コロナ禍のため、公演中止となった、アーティスト集団ダムタイプの新作「2020」が、12/25 から三日間限定で無料配信されました。

ネット上でステージを観た印象は、一言で書けば”前世紀”の集大成。

本作を創った人達は、ステージで使うテクノロジーのみならず、様々な表現の歴史も、ものすごく勉強しているのだろうと思います。
古くは革命直後のロシア構成主義、そしてバウハウスに続く、物事を具体的な物語として語るのではなく、象徴的な表現を組み合わせた構成。そこに社会性も盛り込んでメッセージ性を持たせる。20世紀後半はとくに、言語による複雑な思考が貴ばれるようになった・・・

その流れの中でこのステージの、作品としての完成度は、視覚的にも音響的にも、極めて高いのだろうと思います。前世紀末に、様々な表現技法の開拓を試みてきた彼らならではの、多彩な手法を組み込みながらも、イメージの一貫性を維持した、ギクシャク感の無いステージ進行。「2020」というタイトルが付けられたステージの中央には、始まりから終わりまでずっと、大きな真っ暗の穴が、開いたままになっていて(実際にステージ中央部の昇降装置の床が、下がったままになっていた)、それが本作でのテーマを象徴しているようにも見えました。

ただし、その素晴らしさとは、言語による思考を、”消費”として楽しむ余裕のある階層のための、”アート”マーケット(それも、複雑、非日常的な思考であるほど高付加価値とされる)に向けた商材としてどうか?という物差しでの価値。

そして21世紀は、価値観や貧富の分断が、世界規模で加速化・先鋭化する社会。芸術は普遍的と言っても、現代芸術(contemporary art )とは要するに、19世紀以降の西ヨーロッパ(後に北米も加わるが)で培われた、ローカルな評価基準に基づく営み。

21世紀に入って20年経った今、”現代(Contemporary)”という営みがあるとすれば、それは、芸術の在り方も含めて、20世紀、というより西欧の産業革命以降の社会のありようを、俯瞰的に振り返る視点のある、営みではないでしょうか?19世紀から20世紀にかけて、人間は自ら育んだ工業技術の飛躍的発展を背景に、人間の、頭の中の思考、とりわけ言語による思考の反映としての、表現手法の拡大に、ポジティブな評価も肥大していきました。

いわゆる現代芸術も、そうした肥大化のひとつ。であった点には、留意しておいた方がいいでしょう。

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