賠償逃れのために、批准した条約(国際人権規約B)をひた隠す自民党政権と保守メディア

ソウル中央地裁が1月8日、元慰安婦12人が日本国(政府)を訴えた損害賠償訴訟で、日本政府に賠償を命じた判決について、日本国内では、主権免訴を定めた国際法に違反するという論調が紙面を賑わせていますが、
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210108/k10012803481000.html
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021010800966&g=pol
https://www.yomiuri.co.jp/world/20210108-OYT1T50105/
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM085GY0Y1A100C2000000
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM080V30Y1A100C2000000


こうした主張をする政治家、識者は、他ならぬ日本政府の外務省が繰り返し国会答弁で、大日本帝国の戦時中における非人道的行為について、被害者個人が、個人として、日本企業や日本政府に賠償を求める請求権を、「消滅していない」と認める答弁を繰り返している事実を、なかったことにしています。

ではなぜ、個人の賠償権が存続していると明言できるのか? それは日本政府が1978年に加盟した、国際人権規約のB規約に、日本政府も従う義務があるからだと、当時外務省の条約局国際協定課長だった、浅井基文氏が解説しています。
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2019/1155.html

以下、浅井氏のブログより、該当部分を引用します:

いわゆる「従軍慰安婦」問題と徴用工の問題を契機として日韓関係がおかしくなりました。徴用工の問題について、安倍政権は「過去の個人請求権は1965年の日韓請求権協定ですべて解決済み」と言っています。私は、25年間外務省に勤務し、その中でアジア局や条約局に勤務したことが合計9年間ありましたので、1965年日韓請求権協定で解決済みとしてきた日本政府の主張は理解しています。すなわち、当時は個人の請求権は国が肩代わりして解決することができるというのが国際的な理解であり、日本が独立を回復したサンフランシスコ平和条約における請求権問題に関する規定もそういう考えに立っています。1965年に日本が韓国との間で請求権の問題を解決する時にも、サンフランシスコ条約以来の国際的な理解に基づいて事を処理したということです。それは日本だけの主張ではなく、世界的に認められていました。しかし、その後、国際人権法が確立することによってこの主張・理解は崩れたのです。

文在寅大統領も「国際的な人権、人道の考え方が確立した今日では日本の主張はおかしい」と言っていますが、具体的には国際人権規約B規約を見て頂ければわかります。これに日本が加盟したのは1978年ですが、私はその年には条約局国際協定課長という立場にあり、この国際人権規約の国会承認の事務方の先頭に立っていました。ですから、私はこの条約に非常に思い入れがあります。ところが、今回の日韓の問題を議論する時に、誰も国際人権規約のことを言わないのは、私からするとまったく理解できません。
国際人権規約B規約第2条3項は、「この規約において認められる権利又は自由を侵害された者が、公的資格で行動する者によりその侵害が行われた場合にも、効果的な救済措置を受けることを確保すること」と規定しています。この規約において認められる「権利」や「自由」を「侵害された者」とは、従軍慰安婦問題や徴用工問題との関わりでいえば、第7条と第8条3項(a)が重要です。第7条は「何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない」と規定しています。これはまさに「従軍慰安婦」にぴったり当てはまります。また第8条3項(a)には、「何人も、強制労働に服することを要求されない」とあります。これがまさに徴用工の問題にあたるのです。

ですから、元「従軍慰安婦」の方々、徴用工の方々は日本国に対して効果的な救済措置を講じるように要求する権利があることがはっきり言えるのです。この国際人権規約をはじめとする国際人権法が確立した後、世界各国では過去にそれぞれの国が行った国際人権規約に違反する行為についての救済措置が講じられました。オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アメリカでは先住民族に対する謝罪や補償が行われました。アメリカは第二次大戦中に日系アメリカ人に対して行った隔離政策を謝罪し、補償しました。よく知られているものとしては、第二次大戦中の強制労働問題に関してドイツが作った「記憶・責任・未来」基金があります。そのように、国際人権規約をはじめとする国際人権法が確立されてから、各国で過去に国が行った行為についての謝罪や補償が行われるようになったことを考えると、日本も従軍慰安婦や徴用工の人たちに対して、謝罪し、補償しなければいけないことは当然です。

もう一つ重要なことは、日韓請求権協定や日ソ共同宣言に関して、国が放棄したのは個人の権利を保護する外交保護権であると、日本政府自身が明確にしていることです。個人の請求権自体は協定によっても消滅することはないのです。この点については、1991年8月27日に国会で外務省の条約局長がはっきり答弁しています。そういう国会答弁がなされたのは、国際人権規約ができてからの諸外国の実践に鑑みて、もはやサンフランシスコ条約当時の主張・理解を維持することはできないということで、政府が軌道修正したのだと考えます。
元徴用工の人たちが韓国の裁判所に訴え、韓国にある日系企業、特に強制徴用をした新日鉄や三菱重工業の財産を没収して、それを権利救済に充てることを求めたのに対して、韓国大法院はそれを是とする判決を出しました。それは1991年の外務省の国会答弁からしても抗弁できないのであり、認めなければいけないと思います。しかし、1991年に政府ははっきり答弁しているにもかかわらず、今回の問題が起きてからの安倍政権はだんまりを決め込んでいます。これは非常に不誠実であり、許されないことだと思います。

いずれにしても、国際人権規約の関連条項がサンフランシスコ平和条約で理解されていた「国が個人に代わって請求権を放棄できる」という伝統的な理解をひっくり返したのです。それが大きなポイントです。みんな人権は大事だと言いながら、国際人権規約をすっかり忘れていることは、非常に遺憾なことだと思います。それをまず踏まえていただきたいと思うのです。

引用おわり:

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