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zoom RSS ヨーゼフ・ボイスの挑発B

<<   作成日時 : 2010/02/05 23:46   >>

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ヨーゼフ・ボイスの挑発A
http://hiroshi-s.at.webry.info/201002/article_2.html
より続く

現代芸術、とりわけ視覚表現の世界で、作家の、社会に対する姿勢や関わり方が、あたりまえのように評論の対象となる現状を見れば、ボイスさんの提唱した「拡張された芸術概念」は、現代芸術の延長線上の姿として、特に違和感は無い様に見え、現代芸術の作品(鑑賞されることのみを目的に制作される人工物)が存在する必然性は、やがて無くなって行くのが必然のように思えます。

けれどボイスさんの遺品(とあえて表記します)が、「作品」という扱いで収集され、ろくに説明もつけず(ボイスさんは生前制作に関する対話の重要性を述べていたにもかかわらず)禅問答のように展示される(それも有料で)現状は、彼の遺品が「拡張されない」芸術に利用されているということ。つまり、作品という物体に特別な価値を与え続けようとする芸術観、鑑賞のために造られたものだけを芸術と認める価値観を堅持するために活用されている訳で、なんとも皮肉な顛末だなと思いました。

これは視覚表現に限ったことではなく、音楽などの聴覚表現の世界でも似た様な状況があるのではないでしょか?

主に1950年代から1960年代にかけて、音楽の世界における「作品」「芸術」という既成概念をつぎつぎにひっくり返すパフォーマンスを発表しつづけた、ジョン・ケージという人
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B8
のトライアルは、今でもしばしば、ジョン・ケージが生前行ったのと同じような方法で”再演”されています。彼の作品の多くは、具体的な音の出し方ではなく、音の組み合わせを考えるときのルールだったはずなのに。彼が生きていた時代には無かったような、音を出す手段に溢れている現在でも。


例えば一昨年東京で開催された、ジョン・ケージ作品の再演「凶暴なるケージ」(補注参照)
http://www.realtokyo.co.jp/events/view/26833
http://monnakaten.exblog.jp/9395111/
も、そんなイベントの一つでした。ジョンケージが作品を上演した当時と同じような道具を集めて演奏するという、見事なまでににクラシック音楽的発想。全ての曲がジョン・ケージが演奏した当時の再現ではなかったようですが、芸術というより考古学分野の検証作業のような演奏会でした。

唯一の救いだったのは、自らも長年Abstract(日本語ではインプロヴァイゼーションと言うが)のライブを続けて来たさがゆき
http://www.aruma.be/
が、ジョンケージの存命中には存在しなかった、サンプラ付き目覚まし時計(自分で録音した音を目覚まし音にできる)だけを使って、ジョン・ケージの”Solo for voice”を演奏したこと。

主宰兼出演の足立智美氏
http://www.adachitomomi.com/
も、会場入り口の受付机にコンタクトマイクを仕込み、来場者が記名帳に名前を書く時の音を増幅して会場に流すなど、現代的な味付けを加味してはいましたが、メディアアートの世界でやり尽くされたコケ脅しの印象は免れませんでした。

足立氏は来場者に配布したパンフレットに、
ジョン・ケージ作品上演での、様々な奇異な音の出し方について
>これらの挑発性は果たして慣れることが出来るものでしょうか
と書いていましたが、挑発は、一度やればもう挑発にはならず、彼の演奏も、「ああ、現代音楽なんだなあ」という既視感(既聴感?)あふれるものでした。


昨年秋の、民主党政権による「仕分け」では、芸術活動に対する公的支援の削減対象にされ、一部で大きな問題になりましたが、もともと新たな地平を見出すために行われた先人達の試行錯誤を、あたかも完成された様式であるかのように扱うことで(多くの場合、その上権威化することで)、自らの立場を(完成された価値の伝道者として)維持しようとする組織や(自称)芸術家に、どの程度血税による支援をすべきなのか?「仕分け」はそれについて考え直すための良い機会だったのかも知れません。

おわり。


補注:
『音楽の複数次元2008〜ケージとウォルフ〜』
vol.1『凶暴なるケージ』
(主催:足立智美+ナヤ・コレクティブ)

開催日:2008年10月13日(月)
会場:  東京都江東区門前仲町1-20-3)門中天井ホール「α」

◎プログラム(すべて作曲:ジョン・ケージ)
「Water walk」演奏:足立智美
「Variations 2」演奏:今井和雄(ギター)
「62 Mesostics re Merce Cunningham」演奏:足立智美、さがゆき、松平敬(vo)


演目

1. waterwalk
2. mesostics

休憩(15分)

3. solo for voice 2
4. solo for voice 2
5. solo for voice 2
6. solo for voice 2
7. solo for voice 2
8. variations 2

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