さとうひろし 一有権者のブログ 

アクセスカウンタ

zoom RSS 5/11追記:色彩の説得力/言葉の胡散臭さ (連休美術展巡り その1)

<<   作成日時 : 2012/05/11 15:46   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

先日の連休では、三つの美術館に行きました。一つ目は、東京都現代美術館で開催されていた「靉嘔 ふたたび虹のかなたに

 およそ40年、基本的な方法論を変えずに制作を続ける靉嘔(5月に81歳になる今も現役の作家)氏の回顧展。虹色で描くと言っても、作品の多くはオレンジと緑色が印象が残るように配色されていて、統一感、安定感がありました。見ていて気分が良い作品群。芸術として(の実験性・創造性)はどうかという議論はあるかも知れませんが、アニメキャラのパクりで財を成すことをアートだと吹聴しまくる、日本の視覚芸術界の一派のように、アーティストに対する評価をミスリードする害を撒き散らす訳でもなく、「これでいいじゃん」と納得させられる存在感がありました。
同時開催されていた福島秀子、田中敦子(いずれも故人)の回顧展も、日本におけるコンテンポラリー・アートの概念を創った先人達の軌跡として、良い勉強になりました。

水戸芸術館で開催されていた、「ゲルダ・シュタイナー&ヨルク・レンツリンガーー力が生まれるところ」も、結晶の析出を利用した作品群など、配色の美しさが印象に残る企画展でした。
これだけセンスがあるならば、何もコンテンポラリ・アートなどに閉じこもっていなくてもいいのに、と思わせるような、理屈抜きで楽しめる作品が多かった一方、布の切れ端やら発砲スチロールのかけら等、様々なかけらに、それにまつわる物語の説明をキャプション付けて「Sweet Little Nothing」と名づけたり、様々な人の涙を標本ガラスの上で乾かし、顕微鏡で覗かせて「Tear Reader」という作品にするなど、無理やりコンセプチュアルな体裁を整えたかのような作品もありました。
評論家や学芸員に媚びるようなわざとらしさ。彼の地ではひょっとしたら、”現代芸術家”の肩書きを振りかざせるような、コンセプチュアルな体裁があった方が、安定した社会的地位や生活が出来るのかも知れませんが、作者に美的センスがあるだけに、一部の取り組みが、ある種の見苦しさに感じられました。

この企画展と同時に、公益法人水戸芸術振興財団の主催で開催されていた増本泰斗展は、失礼ながら、これに輪をかけてわざとらしく、中身の薄い展示でした。

会場入り口で配布されていた資料に記載された、長文に渡る説明によれば、作家は様々なワークショップを「悩み、学ぶための実験」として行ったことになっていましたが、外国人へのインタビューを納めたビデオを除けば、他は幼稚な戦争ごっこでしかなく、ワークショップの模様を撮影したビデオにも、資料の説明文にも、このワークショップならでは「学び」や「悩み」はおろか、作品のテーマになっているはずの戦争についても、ワークショップの参加者達が、普通に戦争体験を見聞きする以上の発見をした痕跡はありませんでした。この展示(ビデオ上映)の企画者である竹久侑氏(水戸芸術館現代美術センター学芸員)は、作家の増本泰斗が広島出身の両親から聞いた被爆体験を題材に作品を制作していると解説していましたが、何のことはない、他愛ない遊びを、あたかも社会的意義があるかのように見せかける、詭弁の技を披露しているに過ぎないと、認識せざるを得ませんでした。

水戸芸術館は、以前、ヨーゼフ・ボイスの回顧展で、彼が来日した際のインタビュー等を日本語字幕付きで紹介したり、非常に有意義な企画展も行っていますが、今回のような、「裸の王様」に出てくる仕立て屋同然の企画展は、芸術の振興どころか、芸術の自殺行為ではないかと思います。


コンセプチュアル・アートとは、その手法ならではの、アートでなければなし得ない新たな発見があって、初めて存在価値が生じるのであって、作品(あるいは何らかの行為)の存在価値を厳しく吟味する(その上で世に問う)ところに、芸術を支援する組織や学芸員の存在価値があるのではないかと思います。

表現の自由だからと言って、何をしても良い訳ではないでしょう。ましてや学芸員や公益法人は。


5/11追記:
ファッションデザイナーの山本耀司氏は、下記のインタビュー終盤近く、作品作りついて
「作るものには嘘がつけない。言葉ではいくらでも嘘つけても」と延べています。
現代芸術についても、全く同じことが言えると思います。
http://fashionjp.net/soen/fashion/feature/yohjiyamamoto120507/

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
5/11追記:色彩の説得力/言葉の胡散臭さ (連休美術展巡り その1) さとうひろし 一有権者のブログ /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる