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zoom RSS 空虚を祀る神殿にて

<<   作成日時 : 2014/12/29 02:08   >>

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 先日、パルテノン多摩で開催されていた、報道写真家・福島菊次郎氏の写真展を見に行ってきました。
 私がまだ子供だった頃、テレビのニュースで見た話の現場の様子が撮影された写真の数々。私達の、現代の生活の犠牲になった人達を写した写真。礎ではなく、居なかったことにされた人達。

 権力は、彼らを抹殺しようとした一方、新聞でも、後にはテレビでも報じられ、菊次郎さんはじめジャーナリスト達が書籍も出していた。なのに居なかったことにされてしまった。誰に?

 本展でも多数の写真が展示されていた、成田空港闘争、東大紛争は、私も子供の頃、テレビのニュースで見ていたし、60年安保、水俣病や、原爆症認定問題等の話は、本やインターネットを通じて、知っていました。

 けれど、広島の原爆被災者が集まっていた集落(朝鮮から連れてこられた労働者やその家族も多く、スラム状態だった)の住民に、行政は支援するどころか水道・電気も供給せず、最後は平和公園造成のため、多くの住民が行くあても無く強制排除されていたことは、以前、福島さんのドキュメンタリー映画で初めて知った話で、本展でも関連する写真が、百枚を超えて展示されていました。
(この問題をインターネットで検索すると、いわゆる「原爆スラム」に住んで居た人達が皆、市が提供した公営住宅に引っ越したかのうような記述が見られます)

 日本軍に徴用された朝鮮や台湾の人達が、戦後、日本政府から一切の補償を拒否され、出身国にも帰れずにいたのに(中には戦前の皇国化政策のせいで、日本語しか喋れない人も)、同じ戦争体験者だった日本人は、平和団体さえも、ごく一部を除いて、彼らの存在や日本政府への働きかけを知りながらを黙殺し続けていたことも、福島さんの写真や、以前テレビで半世紀ぶりに再放送された、若き日の大島渚監督のドキュメンタリー番組で私は知りました。

成田闘争は語られても、なぜ闘争が起きたかは語られなくなった日本。

 行政の犠牲になった人達を、居なかったことにしたのは、権力者ではなく日本の大衆。その大衆の多くが今、まるで蜘蛛の糸に群がる地獄の亡者達のように、1%の富裕層のために残りの99%を犠牲にする経済政策を、支持しているわけです。この写真展の会場となったパルテノン多摩の屋上に並ぶ、幾何学的様式だけ西欧を真似たモニュメントは、日本の大衆が謳歌する、物質と金銭だけの繁栄を、象徴する存在にも見えます。


ところで、
 会場の所々に遺作集と表記された、2000枚にものぼるプリントの展示で、日本の戦後史から抹殺されてきた人達の生活を、改めて世に問いかけた福島さんですが、彼は活動家ではなく報道写真家であり、抹殺する側の立場にある政治家、警察官(機動隊員)、自衛官、自衛隊の兵器、その生産現場、更には極右勢力まで、膨大なポートレートを撮影していました(本展でもその一部が公開されていた)。

 原発建設問題で揺れる瀬戸内海の祝島についても、福島さんは、原発建設計画が出来るはるか前、1960年代にも取材に訪れ、当時の非常に貧しい島の生活を記録に残していました。原発建設計画が持ち上がったのは、祝島の人達が、厳しい自然環境を克服し、安定した生活を営めるだけの農業、漁業を確立させた後のことで、原発計画が、こうした島民達の格闘の積み重ねさえも、ほんの一時の札束によって、単なる昔話として葬り去ろうとしていたことが、福島さんの長年に渡る取材から、浮き彫りになっていました。

 また、東大紛争や成田空港闘争で、学生を撲殺したり、怪我人救護にあたっていた学生をガス弾の至近射撃で射殺した警察官の犯罪(捜査もされず闇に葬られた)を、激しく非難していた福島さんですが、その一方で、成田空港闘争が、地元農民の頭越しに始められたことも、写真のキャプションに書き残していました。力による解決を志向しても、それは結局、暴力の応酬にしかならず、それこそ権力の思う壺であることも、福島さんの写真から学ぶことができる、重要な教訓だと思います。







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