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zoom RSS 備忘録:持続可能な漁業

<<   作成日時 : 2015/11/14 03:28   >>

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11月13日に開催された、「魚から考える日本の挑戦」(主催:日経エコロジー、協賛:シーフードレガシー, 米国デヴィッド&ルシール・パッカード財団)を聴講してきました。

以下、登壇者の発言で、印象に残った内容を列挙しておきます。

生田興克氏(シーフードスマート代表理事、築地マグロ仲卸「鈴与」三代目店主):
・日本の漁業に客観データは無い。あるのは水産庁による”大本営発表”のみ。
・日本の漁業生産高は昭和59年がピーク(1282万トン)。今はその1/3程度。
・三陸沖は、世界三大漁場のひとつだが、そのほとんどが日本のEEZ内にあり、外国との漁獲高調整の必要が無いため、乱獲が進んでしまった。
・太平洋マグロの産卵場は日本のEEZ内にしかないのに、日本政府は産卵魚の漁獲規制をしていない(産卵魚は安いマグロは、キロ当たり4000〜5000円の安いマグロとして流通)。最近は、幼魚まで獲られている。

石井幸造氏(海洋管理協議会日本事務所プログラムディレクター):
MSCエコラベルは、漁業認証と、サプライチェーン認証の2段階から成る。
・MSCエコラベルは世界101ヶ国で流通し、世界で水揚げされる白身魚の46%、天然シャケの50%が漁業認証済み。欧米では、マクドナルドのフィレオフィッシュにも、MSCエコラベルが付いている。

ライアン・ビゲロ 氏(モントレー水族館 シーフード・ウォッチ アウトリーチ・プログラム・マネージャー):
・米国の消費者は、シーフードの知識に乏しい。シーフードは自宅で調理するものではなく、レストランで食べるもの。「健康に良い」「サスティナブル」がそのままセールストークになる。しかし日本には独自の食文化があるので、サスティナブルな食材流通をどう広めて行くか?容易ではないかも知れない。

ガイ・ディーン氏(カナダ アルビオン水産副社長):
・5〜10年前までは、サスティナビリティに興味を持つ企業は少なかったが、最近は、無添加の商品を好む消費者(38%)、Non-GMOを好む消費者(31%)、天然物を好む消費者(23%)、オーガニックな商品を好む消費者(16%)などが増加している。当社も、抗生物質を使用していたチリの養殖魚の輸入を止めた。
・漁業資源の需要は大幅に増加している。1990年には、世界の水産物の供給(出荷?)が1億トンだったのが、2012年には2億トンになった。
・サスティナビリティの柱は、経済合理性と、社会責任(調達先での地域貢献など)、環境への配慮(専門家と協力しての)。現在当社は、カナダの大半の環境NGOと協力関係にある。
・持続可能な(サスティナビリティを満たす)商品が当社の収益に占める割合は、5年前は40%だったのが現在は80%にまで向上した。今後もこの比率を一層高めるよう改善を続ける。
・持続可能な漁業を広めるには、「この水産物は買わない」という姿勢より、「この基準を満たした水産物を買う」とアナウンスした方が良い。以前、当社で、ある水産物の購入を止めたが、それを他の商社が買って流通させてしまい、持続可能性の改善にはつながらなかった。また、開発途上国には、雇用を保証したり、学校建設などの地域支援をするなどの、インセンティブが必要である。
・持続可能な商品へのニーズは世界的に高まっており、日本企業にとっても持続可能性は重要になるはず。

ヒュー・トーマス 氏(英モリソンズ):
・サスティナビリティの中でも、近年、社会的な側面が大きくなってきている。
・養殖魚の仕入れでは、抗生物質の管理を厳しくしている(医師の処方に従った投与をしている養殖場のみから仕入れる等)。また、餌にも注意している(病気の家畜の肉は使わせないなど)。
・持続可能なポリシーを決め、サプライヤーには、2年間で改善してもらう。170社近いサプライヤーのうち、取引を停止したのは2社だけで済んだ。

ヘレン・ヨーク氏(米コンパスグループ グーグル担当):
・持続可能性の改善に取り組むにあたり、まずは、使用している魚介類の種類と量を、定量的に把握する作業からはじめた(これが大変だった)。次いで、絶滅の危険性などに基づき種類ごとにランク付けを行い、ランクの応じた対応(産地の変更、魚種の変更など)を検討した。
・北米では、食感が似ていれば魚種を変えても食堂の利用者は受け入れるので、魚種の変更は比較的容易だった。タラの調達場所を変えたり、鮭からイワナに魚種を変更したケースもあった。ただし、シェフにサスティナブルの重要性を理解してもらい、シェフに積極的に協力してもらう必要がある。
・エビだけは、他の海産物では代替できず、タイでサスティナブルな養殖を試みたが、これは失敗した。
・サスティナビリティ向上への取り組みを拡大した結果、持続可能性は、トータルではコストに悪影響を与えないことが分かった。絶滅しそうな魚種は価格も高くなっていた。
・2015年中にサスティナブルな食材の使用比率を100%にする目標を掲げ、85%を達成した。現在、魚群収集装置を使って獲ったカツオの仕入れをやめるなど、更なるサスティナビリティ向上に努めている。
・現在、Seafood Watch のアセスメント基準を採用している。
・サスティナビリティが確保された食材を使うことも大切だが、食物連鎖の下位にある食材(魚介類で言えばホタテ貝など)の利用を増やすことも重要ではないか?食物連鎖の下位にある食材なら、必ずしもMSC認証やASC認証にこだわらなくても良いのではないか?
・ちなみに、グーグル本社では、週30万食を提供している。グーグルの社員食堂では、当初から養殖魚を使っていなかったので(Google社内に養殖の専門家がおらず、責任ある調達ができなかったため)、サスティナブルな食材への移行は簡単だった。むしろ、コンパスグルーが手掛ける、他の食堂の方が、売れるメニューを提供しなければならないので、サスティナブルな食材への切り替えに苦労した。切り替えでは、盛り付けの工夫や香りの工夫を行うなど、シェフの貢献が大きかった。
・一般消費者への、サスティナビリティの訴求は、数字など、頭に訴える方法では難しいのではないか? 消費者のハートに訴える方法が必要ではないか?

ディック・ジョーンズ 氏(オーシャン・アウトカムズ事務局長):
・サスティナブル実現で重要なのは、現実的な期待値を設定すること。MSC認証を受けている水産物は、申請中のものを含めても、まだ全体の12%でしかない。
・誰かの責任にすることは出来るが、今はそれを超えて、先に進む必要がある。業者だけでなく、NGO,学者、行政、全てを巻き込んで協議することが重要。
・北米では、大型小売店のプライベート・ブランド志向が強く、MSC認証など、エコマークによる啓蒙が難しい。これからは、インターネットを通じた会員サービスなどで、啓蒙を進められないか?

花岡 和佳男 氏(シーフードレガシー 代表取締役社長):
・サスティナビリティに関しては、いろいろな基準があるが、科学的な裏付けがあること、独立した機関が認証していることが重要。
・企業との連携を進める上では、企業のブランド(の価値や社会的信用)を大事にしている人を探す、あるいは育てることが重要。日本企業の意識(資源枯渇への危機感など)は、まだあまり進んでいない。

松本 金蔵 氏(イオンリテール 食品商品企画本部 水産商品部 部長)
・イオンでは2006年からサスティナビリティ向上の取り組みを始めている。(自社で新たな基準を造るのではなく)信頼できる第三者が認証した商品を取り扱う取り組みを続けている。
・自社で扱っている魚介類の種類の総数は把握していないが、MSC認証、ASC認証をを受けた水産物15〜
16種類を販売している。新規オープン店の食品フロアに、MSC認証品、ASC認証品だけを集めたコーナーを設ける予定。
・サスティナビリティ向上への取り組みを推進するには、まず社内の説得が重要。ロマンが必要。消費者には、MSCマークを貼っただけでは伝わらない。オリジナルのロゴを作ったり、売り場を変えるなどの工夫が必要。最終的には、持続可能な食材のプライベートブランド化を目指したい。

無料のセミナーにしては、かなり充実した内容で、その上セミナー終了後には、無料のレセプション(イオンが扱うMSC認証品、ASC認証品の試食会を兼ねる)が開かれるなど、サービス満点のイベントでした。








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