政府による個人情報管理の大前提(台湾に学ぶ)

 COVID19の感染爆発に際し、台湾は、韓国と並び、迅速な対応を敢行し、ロックダウン無しでの感染抑制に成功しました。その際台湾政府は、政府が収集・管理する個人情報を活用して、マスクの買い占め防止や、海外からの帰国者管理など、様々な感染対策を行っていたことが日本でも度々報じられました。

 ではなぜ、台湾政府は、多様な個人情報を収集・管理できるのか? 台湾のCOVID19 対策では、IT担当大臣と言われるオードリー・タン氏が、COVID19 が広まる前から、国民参加による政策決定を推進し、国民が国政に直接意見を述べ、それが現実の政策にも反映される仕組みが存在し、国家がどんな個人情報をどう利用するかも、国民の監視下に置かれていることが、日本でも繰り返し報道されていました。

政策決定にいちいち、議員でも閣僚経験者でも”識者”でもない一般国民を関与させる手法は、恐らく世界でも稀で、日本では話題にもなりません。確かに何の準備もなしに、台湾のように、国民が政策決定プロセスに直接参加する枠組みだけを作っても、日本では荒れたSNS同然になるか、一般人を装った、資金力に富む組織に支配されるだけかも知れません。

誰にでも開かれた場で、理性的で、なおかつ建設的な議論を進めるには、舵取り役が必要で、オードリー・タン氏は、正に、理性的で前向きな議論を進めるためのコーディネートで、類稀なる才覚を、発揮し続けているようです。現在の、彼の優秀さというのは、IT技術を活用する能力自体より、この、議論を下支えする能力ではないかと思います。

7月27日付の Forbes Japan の記事に、オードリー氏の、(IT活用力ではなく)建設的議論の推進能力が記載されていますが、彼自身が語った、彼のポリシーを、下記に引用したいと思います。

引用はじめ:
「前世紀のガバナンスは二つの対立する価値、例えば『環境』と『経済発展』といった価値を代表する組織や団体をつくり、その間で調整して妥協するものだった。でも、ソーシャルメディアの登場や、ハイパーコネクテッドワールドにおいて、そのやり方は破綻した。的確なハッシュタグで、数万、数十万の人々がどこからともなく組織される。政府や法律では、それら多数の、または緊急の問題について対応することは不可能です。旧来のやり方では、多くの緊張が生まれてしまう」

彼女が実践するデジタル、または協働ガバナンスは、インターネット・ソサエティから学んだことだ。人々を利害で組織する代わりに「異なる立場であるが、合意できる共通の価値は何か」といういくつかの問いかけを行うのだ。もし合意に至ることができれば、すべての人にイノベーションを提供することができる、タンはそう語る。

現在大臣になった彼女はvTaiwanと同じような機能を持ち、パブリック・サービスによって運営される「Participation Officers Network」や中央政府の官僚や地方自治体の職員を引き連れ、普段、直接的にもインターネットでもつながりの薄い地方や僻地を回ってタウンホールミーティングを開催する「ソーシャル・イノベーション・ツアー」を行っている。どこにも属さない無任所大臣の彼女は、オープン・ガバメントという使命と同化し、ひまわり運動のときと同じように、人々の分断や不確実性、疑いを軽減するために走り回る“コミュニケーション・エキスパート”なのだ。

そのパッションはどこから来るのだろうか?

「基本的には楽しさのオプティマイズ(最適化)です。すべての人に、公的なものごとに参加してもらって、面白いと感じてほしい。1922(※台湾版CDCの無料電話相談)に電話して、『ねぇ、明日みんなでいじめられた小学生のために、ピンクのマスクを着けてきたら?』と提案して、本当に次の日閣僚たちがつけてきたら面白いですよね? みんな元気づけられる。その楽しさは、ひとりの楽しさとは全然違う。コレクティブ・インテリジェンスは、個人的なものよりも、はるかに楽しいんです」

インタビューの最後に、次世代の若者へのメッセージをお願いすると、彼女の好きな詩を引用して、こう語ってくれた。

「『There is a crack in everything and that’s how the light gets in(すべての物にはひびがある。そして、そこから光は入る)』。世界は完璧ではありません。私たちの行動が、生態系を壊すこともある。自然界、人間界のシステムの構造的な問題に、一緒に取り組むことができる。それが、私たちがここにいる理由です。欠陥は、あなたが貢献するための招待状です」

引用おわり:


それでは、彼の特異な能力は、どこから来たかというと、それは彼のパーソナリティーとも深い関わりがあるようです。
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00850/


以下、参考までに、現在ネット上で無料閲覧できる、オードリー・タン氏に関する記事のいくつかを、張り付けておきます。

政策決定プロセス(含IT活用)に関して:
https://news.yahoo.co.jp/feature/1517
https://toyokeizai.net/articles/-/327954
https://easy.mri.co.jp/20200324.html
https://note.com/blkswn_tokyo/n/ne3513163c79b
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/72616
https://www.huffingtonpost.jp/entry/corona-it_jp_5f03db7dc5b61c37e054d9be
https://japan.cnet.com/article/35156776/
https://toyokeizai.net/articles/-/365638
https://techwave.jp/archives/taiwan-minister-mr-audrey-tang-talks.html
https://forbesjapan.com/articles/detail/35975/





COVID19対策に関して:
https://xn--cafest-vt5op9kd66c.online/advanced-cases/other/a-public-health-response-to-coronavirus-infections-in-taiwan-using-big-data-analytics-and-information-technology
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/04100557/
http://akimotokazuya.com/%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%81%AE%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E8%80%85%E6%95%B0%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%AB0%E4%BA%BA%EF%BC%81%EF%BC%81/
https://courrier.jp/expat/area/taiwan/taipei/109/14897/
https://ameblo.jp/yuutunarutouha/entry-12612469387.html
https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2020/07/it3_1.php
https://logmi.jp/business/articles/323562

オードリー・タン氏の半生、人生観について:
https://data.wingarc.com/audrey-tang-25260
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00837/
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00850/
https://www.news-postseven.com/archives/20200613_1569693.html
https://www.afpbb.com/articles/-/3293616
https://japanese.engadget.com/audrey-220051073.html
https://www.elle.com/jp/culture/career/a32819556/taiwan-the-youngest-it-minister-audrey-tang-new-leader-200615/
https://community.exawizards.com/aishinbun/%E3%83%A6%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%A2%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%80%81%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%B3%E5%AF%BE%E8%AB%87/
https://forbesjapan.com/articles/detail/36065

オードリー・タン氏の教育観
https://toyokeizai.net/articles/-/362226

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